はじめに
「予算立て」をする習慣を
収入には限りがありますから、まずは予算を立てることが重要になります。
相談者様の現状では、ボーナスが年収の一部であるにもかかわらず、給与とみなされていない印象を受けました。毎月のやりくりはとても努力されているのに、ボーナスとなると散財してしまうのはもったいないことです。そこで、家計を年間で把握してみましょう。
<現在の年間の収入(手取り)>
(月額給与×12ヵ月)+ボーナス:合計292万円
<現在の年間の支出>
・生活費:72万円
・返済金(奨学金):14.4万円
・保険料:10.8万円
・個人年金保険:10.8万円
・投資信託の購入:36万円
・レジャー代:70万円(旅行やキャンプ代等)
・祝い金:15万円
・使途不明金:63万円(支出項目にない分)
こうしてみると、生活費は収入の約25%を占め、それに次いで高いのがレジャー代です。約24%も支出しています。そこで、10%台に抑えてみるのはどうでしょうか。レジャー代は「旅行積立」などの制度を利用して賢く貯めてみるのも楽しいものです。
一方で、投資信託の購入と個人年金保険の保険料を併せると、16%程度です。ここを20~25%台に増やせるようにしましょう。支出項目にないお金はそのまま銀行口座に残っているということも考えられますが、レジャー代を節約して、その分を自己投資に回してみてはいかがでしょうか。自分への投資にお金を回せるのも20代の強みです。
<見直し後のボーナスの使途>
・レジャー代:30万円
・自己投資:20万円(今後のキャリアアップ)
・積立商品:35万円(財形など積立金融商品)
・祝い金:15万円(慶弔費などに)
自己投資の金額は調整していただいて結構ですが、これで貯えのための金額は全体の3割目前に改善されます。貯められる時にがっつり貯めておきましょう。
会社員であれば、財形制度(勤労者財産形成促進制度)が会社の福利厚生としてあるのではないかと思います。ライフプランに合った財形(一般・住宅・年金)の種類を選ぶことができます。財形は給与天引きなので、手取り収入はすでに天引きされたものになるため、気にされていたボーナスからも先取り貯蓄をすることができるようになります。
収入を途絶えさせないことも大切
せっかく家計の見直しをしても、現状の収入が途絶えては元も子もなくなります。女性はライフコースが多様に変化することが考えられます。中には、退職を余儀なくされることもあるかもしれません。
そこで、できる限り収入を途絶えさせないこと、つまり、キャリアを保ち続けるか、または、磨き続けることがライフプランの実行のためには大切になります。
仮に、子どもを出産して、退職したのち、10年後に再就職を考えた時のことを想像してみましょう。これまで仕事を続けてきた人と、10年間ブランクがある人では、その人を取り巻く環境は、明らかに仕事のスキルや社会状況が変化しているのです。それを取り戻す努力をするか、そのときの能力に応じた仕事を探すのか、2択になるでしょう。
10年後に浦島太郎にならないようにするための努力も大切です。その10年は決して楽でないかもしれませんが、親としても成長し、その背中を子どもに見せることができる生きた教育になるのです。
今後、10年、20年、そして50年後と、私たちを取り巻く社会の状況は、色々な面で厳しくなっていきそうです。それらに対抗できるような、自分磨きと経済的な力を付けていきましょう。
※本文はFPの私見によるものです。様々な判断をする際の1つの考え方として参考にしてください。