はじめに

「ハナキン」は復活するか

さて、このような消費形態をみると、わたしのように50代の人間が思い出すのはバブル時代の「ハナキン」だ。金曜日の夜ともなると、いつもの友人たちがいつもの街に集まって夜遅くまで飲んで踊って遊んだものだった。バブル期の繁華街ではタクシーがつかまらないので、結局夜中の3時くらいまでお店を転々としながら遊んで過ごした。

あの頃の時代を象徴するブームのひとつが「ガーラ湯沢」だ。金曜日、会社を退社したら背広姿のまま上野から新幹線でガーラ湯沢に向かう。現地でレンタルでスキー用具一式を借りて、ナイターのスキーを楽しむのだ。

そして2時間ほど滑ったら、そのまま東京にとんぼ帰り。猛者になると、そのまま夜も深まる六本木に向かって「オレ今、スキーしてきたところ!」などとアピールしながら、ハナキンの非日常を楽しんだものだった。

我々、50代はそろそろ金銭的に余裕がでてきて、ふたたびハナキンを楽しみたい気持ちを少なからず持つ。ただ昔のように終電近くまでバカをやるのは体力的にはかなりきつい。そこにプレミアムフライデーが登場したわけである。

プレミアムフライデーの主役はシニア層?

私の見立てでは、プレミアムフライデーの消費拡大効果で一番期待できる消費者層は若者ではなくシニア層だ。そのシニア層は、ふだんは二次会、三次会に出かけることがあまりない。

実際、19時頃に集まって21時半にお開きになるとすると、シニアにとっては二次会に誘われても体力的にちょっとキツイと考えてしまう。

なにしろそのままJRに乗って帰宅すれば、比較的すいている電車で座って帰ることができる。ところが二次会に合流すると、お開きになるのは23時半頃。電車は帰宅ラッシュ、混雑した車両に乗って揺られながら立って帰ることになる。

そこでプレミアムフライデーだ。これなら16時のハッピーアワーで飲み始め、ひとしきり話題に花が咲いたところで19時。ここから本格的な二次会に出かけることができるようになる。

「もう一軒、ワインバーに出かけよう」
「六本木に新しいオイスターバーができたらしいぞ」

こういった感じではしごしても、時間的には苦にならない。

「今日はたくさん飲んだなあ。もうぐったりしてきた」

そう言っても時間はまだ21時台。電車に座って帰宅できる楽な時間帯。もし飲み過ぎても翌日は休日だ。

このように、プレミアムフライデーのビジネスチャンスは、最終的にシニア層の需要を取り込んだ企業が勝つと私はにらんでいるが、みなさんの考えはどうだろう?

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