はじめに

1月は行く、2月は逃げる、3月は去るとはよく言ったもので、あっという間に年度末が近づいて来ますね。お子さんがいらっしゃるご家庭では、進級・進学にともない、来年度のPTAや子供会の役員が回ってくるかどうかが、気になる頃ではないでしょうか。

役員の役割のひとつに「会計」があります。私はお金のことは苦手だから……と会計を担当することに抵抗がある方も多いように思います。しかし、このような団体の会計は、それほど難しくありません。

公認会計士であり、二児の母でもある筆者が、ポイントを押さえて実施がラクで、ほかの役員のみなさんにも感謝されるPTAの会計管理方法をお伝えします。


PTAの会計を「予算化」しよう

そもそも、みなさんは「会計」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

前年度繰越金+収入-経費=次期繰越金

という式は、どなたにもイメージしやすい会計の基本でしょう。

筆者が上記に加えてお勧めしたいのは、PTAや子供会など任意加入団体の会計を「予算化」することです。「えっ、予算化なんて難しそう」と思われましたか? そんなことはありません。予算化がわかりにくければ、「お金を袋分けする」と考えていただいてかまいません。そう、事前に「何にいくら使うかを決める」ことが予算化なのです。

任意団体の会計で一番大切なのは、お金が適切に使われたことを示すことです。そのために、レシートを集めたり、帳簿をつけたりします。しかし、ただ帳簿をつけるだけでは、活動の後追いをしているだけになってしまいます。ここで予算化を行えば、役員の活動の自由度を上げ、結果として全体の負担を減らすことが可能になります。

今回は、筆者が実際に行った予算化の方法をご紹介したいと思います。

まずは全体像をつかもう

任意加入団体の会計を担当するとが決まると、以前からの会計帳簿を引き継ぎます。しかし、多くの会計帳簿は過去の活動記録が残されているだけだと思います。ここに、来年度は活動の未来に役立つ予算の概念を加えてみましょう。

予算化のためにまず必要なことは、過去3年間の帳簿を見直し、経費を項目ごとに集計することです。「経費」とは、簡単に言えば、使ったお金のことです。少し面倒に感じるかもしれませんが、ぜひ項目ごとに集計してみてください。団体の規模にもよりますが、多くの場合、15分もあればできると思います。

春のお花見、夏のラジオ体操、秋のお芋ほり、冬のクリスマス会など、大きなイベントごとにざっくりと集計すれば大丈夫です。どこに分類したらよいかわからないものは、「その他」でひとくくりにしてかまいません。

次に、項目ごとの過去3年分の経費平均値を出してください。これが、予算の目安になります。可能であれば、対象年度別に、名簿に載っている子供の人数も合わせて把握するとよいでしょう。

収入・経費を把握すれば予算が立つ

過去3年分の経費平均値と子供の人数がわかったら、次に、「収入」を明確にしましょう。収入とは、簡単に言えば、団体に入ってくるお金のことです。会費収入や補助金収入はどのくらいになりそうですか? こちらも、過去の帳簿や前年度の役員の話から、ほぼ正確に予測できるはずです。

収入見込額と経費平均値、それに前年度からの繰越金のデータがそろったら、経費平均値を参考に当年度のイベントの予算が立てられます。以下の式に当てはめながらら計画してみると、わかりやすいのではないでしょうか。

前年度繰越金+収入見込額-イベント別予算合計=次年度繰越金(見込額)

どのイベントにどの程度の予算を設定するかは、年度初めにほかの役員のみなさんと相談して決定しましょう。特別な事情がない限りは前年度にならえばよいでしょうし、変更が必要な場合も、全体の金額がわかっていれば計画は立てやすいと考えられます。繰越金から大きな買い物をする場合にも、金額を決めやすくなります。

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