はじめに
株式投資をしていると、相場が下がって買い時なのに投資用の資金がない。あるいは、株価が売り時でなかったり、株主優待を受け続けたかったりするのに、急な資金が必要で売らざるを得ない……。そんな場面に出くわすかもしれません。
しかし、もし保有している株式を担保にしてお金が借りられるローンがあればどうでしょうか。いざという時の資金にも、株式を売らずに対応できます。今回は日本証券金融のリテール営業部の担当者に、同社で取り扱っている「コムストックローン(証券担保ローン)」の活用方法を聞きました。
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信用取引を支える日本で唯一の会社
――「日本証券金融」という会社名、一般の方にはあまり聞きなじみがないかもしれません。どのような業務を行っている会社なのでしょうか。
1950年に証券金融の専門機関として新発足した会社で、70年近い歴史があります。株式の信用取引において、証券会社が顧客に貸し付けるのに必要な株式やお金を、証券会社に対して貸し付ける「貸借取引」を担っています。金融商品取引法に基づく免許を受けた日本で唯一の証券金融会社です。※1証券業界では通称「日証金」と呼ばれています。
――貸付を行う会社ということですが、一般の銀行とはまた違う仕事になりますね。
簡単に言えば、「証券会社にとっての銀行」みたいな感じでしょうか。銀行と違うのは、株式も貸す点です。信用取引の買いのための資金のほか、信用取引の売り、つまり投資家が持っていない株式を売るといういわゆる「空売り」のための株式を証券取引所の決済機構を通じて証券会社に貸し付けることで、証券市場を支えています。
――個人の顧客に提供しているサービスはあるのでしょうか。
日証金が貸借取引業務で蓄積した担保として株式を管理するノウハウなどを活かしつつ、一般の投資家の方々に役立つサービスとしては「コムストックローン(証券担保ローン)」があります。
貸借取引が下支えしている制度信用取引は、最長6ヵ月で反対売買をして手じまう(取引を終わりにする)というのがルールなのですが、コムストックローンの借入期間はそれよりも長期になっています。契約自体は1年間ですが、担保が足りている等、条件を満たせば残高を継続したまま契約更新ができます。
借り入れの自由度は高い
――コムストックローンとは具体的にどのようなサービスなのでしょうか。
個人のお客さまを対象とした、インターネットで取引ができる来店不要型の証券担保ローンです。SBI証券、SMBC日興証券、野村證券の3社が提携証券会社となっています。
提携証券会社に口座を持っている方が契約すると、保有されている株式やETF、REITに担保権が設定され、いくらまで借入できるかを計算してウェブサイトに表示し、その範囲内でいつでもお金を借りられるという仕組みです。
――株式等を担保にして借りたお金の使途は決められていますか。また、返済の仕組みはどのようなものでしょうか。
資金使途は原則として自由なので何にでも使えますが、やはり投資資金に使われている方が多いです。実施したアンケート調査によれば、6~7割程度の方が株式投資に使われていました。他には、不動産の買付資金、旅行費用、お子さまの学費や生活費への充当など、いろいろな使い方ができます。
元金の返済は随時可能となっており、「毎月何日までにいくら返済してください」というような定額返済ではありません。毎月定期的にお支払いいただくのは利息だけです。毎月1日から月末までの1ヵ月分の利息を、翌月15日に銀行口座から口座振替で払っていただく仕組みです。
――実際にどのくらいの金額を借りる方が多いのでしょうか。
まず、いくらまで借入が可能かと言うと、担保評価の対象になる株式等の時価の最大60%までとなっています。500万円の担保株式等に対して、最大300万円まで利用可能ということです。
実際の借入額の平均は500万~600万円程度ですね。初回の最低借入額は30万円に設定していて、株式投資をしている方にとっては比較的低いバーで、使いやすいのではないかと思いますね。
――借入をする際の担保評価の対象になる銘柄に指定はあるのですか。
上場株式等の9割程度の銘柄を担保評価の対象にしており(2019年2月現在)、他社の証券担保ローンに比べて割合は大きいと思います。なお、担保として評価しない「融資不適格銘柄」については、コムストックローンウェブサイトに掲載しております。