総合スーパーを「強い小売業」に転換

イオンのSCに行けばわかりますが、GMSはもはや専門店と競合する存在ではありません。今はユニクロなど人気の専門店を積極的に取り込み、ショッピングセンター全体の魅力を高める戦略を取っています。

自前の売り場は、競争力のある生鮮食品や、競争力のあるPB(プライベートブランド)などを中心にして、専門店と競合する衣料品や雑貨の売り場は縮小しています。つまり、イオンは専門店と競合せず、共存する存在になっているわけです。

外部テナントを取り込むと、そこからは賃貸収入が入ります。今やSCは小売業(自前の売り場)と、不動産業(テナント管理)のミックスとなっています。さらに、魅力的なGMSを全国に展開することで、クレジットカードや銀行などの総合金融業の利益成長も見込めます。

このようにして、イオンは総合スーパー事業を“衰退ビジネス”から再び“成長するビジネス”に変えました。

自前の売り場にこだわらず、魅力的な空間を作ることで稼ぐ発想は、不動産業のものです。魅力的な立地を押さえている不動産業が小売業に参入すると成功しやすいのは、もともと自前の売り場がないからです。

JR東日本が駅ナカなどに展開する「ルミネ」や三井不動産が展開する「ららぽーと」は魅力的な空間を作り、競争力の高い専門店を呼び込むことで、競争力のある小売業となっています。

消費増税はイオンにとってマイナスか

2019年は小売業全体に悪材料が待ち受けています。10月に消費増税(8%→10%)が予定されているからです。ただし、持ち帰りの食品には軽減税率(8%)が適用される予定です。イオンの食品スーパー部門は、外食業に対し、優位に立つ可能性があります。一方、イオンで販売する雑貨類には軽減税率が適用されません。そこは懸念材料です。

政府は消費増税で消費が冷え込まないように、あらゆる対策を打つ方針です。今、検討されているのは、中小の小売り店舗でキャッシュレス決済を行った場合に、5%のポイント還元を行うことです。

2019年10月から2020年6月までの期間限定となる見込みですが、その間、中小小売り店舗でキャッシュレス決済を行うと、2%増税でも5%のポイント還元が受けられるので、「実質減税」になる可能性もあります。

ただし、これは個人商店など中小の小売り店舗だけの恩恵になる見込みです。上場企業は対抗上、自社の負担でポイント還元を行わなくてはならなくなる可能性もあります。短期的にネガティブですが、それで日本にキャッシュレス決済が広く浸透すれば、長期的には小売業の店舗運営コストの低下につながる可能性もあります。