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イオンの復活劇、“投資のプロ”が見ると何が変わった?

視野に入った最高益の連続更新

イオンは株主優待が魅力的で、個人投資家に人気の銘柄です。ただこれまで、業績はイマイチというイメージが付きまとっていました。

ところが、本業の儲けを示す営業利益は2018年2月期に前期比13.8%増の2,102億円と、過去最高を更新しました。続く今期(2019年2月期)の営業利益も会社予想ベースで同14.1%増の2,400億円と、最高益が続く見通しです。

グループ会社の再編にコスト(特別損失)がかかるので、連結純利益の水準は低く、まだ最高益に届いていません。再編が完了すれば、いずれ純利益も最高益を更新すると予想されます。イオンは株主優待だけでなく、業績でも評価できる銘柄になったと考えています。

いったい、イオンにどんな変化があったのでしょうか。


天候影響は軽微で最高益更新の見通し

1月9日にイオンが発表した第3四半期まで(2018年3~11月)の営業利益は、前年同期比6.0%増の1,090億円で、同期間で最高益を更新しました。6~9月は悪天候、10~11月は暖冬と天候要因に足を引っ張られ、利益計画には少し後れが出ています。それでも構造改革・成長戦略ともに、着実な進捗が見られる良い決算だったと評価できます。

第4四半期(2018年12月~2019年2月)は季節的に高水準の利益が出るので、私は通期(2019年2月期)の営業利益は、前期比9.3%増の2,300億円になると予想しています。会社計画(2,400億円)には届かないものの、最高益を更新する見込みです。

総合小売業であるイオンやイトーヨーカ堂などの大手スーパーは、長らく「カテゴリーキラー」(特定分野の勝者)と呼ばれるユニクロ、無印良品、ニトリなどの専門店や、セブンイレブン、ローソンなどのコンビニに売り上げを奪われて、衰退していくイメージを持たれていました。

ところが最近、小売業界に、ちょっとした異変が起こっています。イオンなど総合スーパーの一部が、元気を取り戻しているのです。一方、国内のコンビニにはやや飽和感が出ています。

セグメント分析で見るイオンの変化

イオン復活の背景は、同社のセグメント情報を見るとよくわかります。第3四半期までの連結営業利益の内訳は下表の通りです。

事業別、所在地別の2つのセグメント情報を見ると、イオンの2つの構造変化がわかります。

(1)スーパーの利益は低迷。金融、不動産、ドラッグストアの利益拡大で最高益達成
(2)国内の利益が伸び悩む中、海外の利益が大きく伸びる

象徴的なのは、イオンの中核ビジネスであったGMS(総合スーパー)が3~11月期で赤字であることです。SM(その他スーパー)もあまり収益を稼げていません。それでも、金融、不動産、ドラッグストアの利益成長によって、連結営業利益で最高益を更新しています。

所在地別セグメントでも、同じ現象が見られます。海外でも、小売業ではそんなに利益を稼げていません。それは、事業別セグメントの「国際」部門が1億円の営業赤字であることからわかります。海外でも金融と不動産の利益が拡大しているため、海外部門全体で236億円の営業利益を稼ぎ出しています。

現在のイオンは、必ずしもスーパーで稼ぐのではなく、金融、不動産、ドラッグストアなどを含めたグループ全体で利益を成長させるビジネスモデルに転換しています。金融、不動産業はショッピングセンター(SC)と不可分で、SCが賑わっているからこそ金融や不動産業の収益が拡大する構造です。

同社は金融・不動産を含めて、2018年3~11月期に海外で営業利益の22%を稼ぐまでになっています。今後、海外収益の構成比がさらに高まっていくことが予想されます。

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