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2019年の株式市場、その行方を3つのポイントで徹底解説

経済減速局面でも株価上昇は見込める

2018年の株式市場は、9月に米国でダウ平均株価が史上最高値更新、国内も日経平均株価が27年ぶりの高値圏まで上昇しました。

しかし、米国の保護主義的な貿易政策や政策運営に対する不透明感、欧州の政治的混乱、株式市場をけん引してきたハイテク企業の業績悪化などから世界的な景気減速懸念が広がり、年間騰落率はマイナスとなりました。

そこで今回は、2019年の株式市場をどのような観点でみておけば良いのか、注目点を3つに絞ってお伝えします。


その1:貿易戦争への発展は予想しない

まず、米国の貿易政策についてです。1月に日米貿易協議が始まるとみられ、米国から示される自動車輸入に対する態度の変化が注目されます。現時点では、米国が日・独に対しても、対中国と同じ態度を示す可能性は低いと思います。

そもそも対中国への米国の厳しい態度は、トランプ政権に始まったのではなく、米国政府の長期にわたる中国への不公正取引(不十分な知的財産権保護、国営企業優遇、補助金供与)の批判から始まっています。日・独などとはおおむね解決済みなので、批判の程度は低いとみているからです。

一方、対中国については、多くのエコノミストが米国と中国との3月1日までのいわゆる「休戦期間」の後、米国が先送りした2,000億米ドル相当の中国製品の輸入関税を「10%から25%に引き上げること」を織り込んでGDPを予想しているようです。そのため、米中貿易摩擦は継続がメイン・シナリオになるでしょう。ただし、関税が10%で維持されて交渉継続となれば、ポジティブ・サプライズになります。

加えて、米国は安全保障の観点で、“中国からのハイテク商品を輸入しない” “これらの関連部品や製造装置を輸出しない”ことなどを検討しており、米中のハイテク摩擦の高まりが懸念されます。

仮に、米国の同盟国は中国に半導体製造装置を輸出してはならない、などとなれば問題は拡大しますが、可能性は低いと思われます。なぜなら、中国は先進国の製造拠点になることで、バリューチェーンの根幹の一つになっているからです。一部の関連製品の輸入制限程度で、日・米・独などのGDPへのインパクトは大きくはならないでしょう。

その2:米国の政策金利は機動的に

今年、米国で2回程度の利上げを予想する向きが多いのですが、先日のFRB議長の経済学会での発言は、以前よりも柔軟性を増したと市場では受け止められました。つまり、成長減速を懸念した急激な株価下落が続けば、景気指標だけに縛られず、政策金利の引き上げ見送りや引き下げもあり得るということを、市場が期待し始めたのです。

もともと、FRBは経済が期待を通じて動いているといった考えが強いので、期待(あるいは懸念)の表れでもある市場の反応を重視しているのです。市場関係者は、FRBによる今年2回の利上げを予想していますが、2018年のようにおおむね四半期に1回の機械的なペースではなく、景気指標や市場の反応に依存して機動的に行うとみています。その裏返しには、経済指標と市場の反応にFRBの対応が一喜一憂して、市場のボラティリティ(変動性)が高まる可能性があります。

しかし、中央銀行は経済が悪化するような政策行動を取ることはないので、引き締め過ぎだと判断すれば、機動的に緩和的な対応をすることになるでしょう。それゆえ、FRBの動向には、あまり神経質になる必要はないと思います。

その3:日本は消費税率引き上げでも、政権の揺らぎはなさそう

10月に予定されている消費税率引き上げの日本経済に対する影響は不確実です。しかし今回の8%から10%への引き上げは、2014年の5%から8%への引き上げ時よりも「まだ良い」と筆者は予想しています。

なぜなら、税率引き上げ幅は小さく、今回の方が経済状況は良く、政権が増税対策を準備しているからです。ただし、一時的に税収増以上の政府支出を行っても、消費が増えるかどうかは分かりませんし、市場参加者が分からないこと自体を嫌って、リスク資産を増やさない可能性があります。

また、統一地方選や参院選については、現与党が過半数を失わないとみており、議席数の増減があったとしても、政策執行に影響はないとみています。憲法改正などで影響はあるかもしれませんが、安倍首相が政権を退陣に追い込まれるほど負けるとは想定していません。そうであれば、アベノミクスを基礎とする経済政策の大幅変更を考える必要はないと思います。

最後に・・・

最近の株価指数の大きな下落は、経済成長の減速(スローダウン)と後退(リセッション)を混乱してしまったことが背景にあるのではないかと思います。企業収益は、経済が減速しても、賃金上昇などがよほど悪くならない限り、プラスと見て良いと考えています。それゆえ、論理的に株価指数は経済成長の減速局面でも上昇は見込める、といえると思います。

<文:チーフ・ストラテジスト 神山直樹>

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