はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回は読者の家計の悩みにプロのFPとして活躍する深野康彦(ふかの・やすひこ)氏がお答えします。

私48歳、妻44歳、長女高1(公立高校)、次男小6(私立中学受験予定)、次女小2の5人家族です。年収は手取り800万程度。住宅ローンは完済しています。上記条件で、食費、光熱費、通信費、教育費、衣服、自動車、交際費、趣味、旅行など各カテゴリの適正な予算、貯蓄額を教えてください。
(40代後半 既婚・子供3人 男性)


深野: 家計における項目別の適正予算、ならびに貯蓄額のご相談ですが、残念ながら万人に共通する適正予算や貯蓄額という数字は存在しません。

なぜなら、同じ年齢であったとしても、家族構成、収入などが違ったり、ライフスタイルやライフプランが異なるからです。10人いれば10通り、100人いれば100通りの考え方があるのです。

基本は家計全体が黒字になればOK

ただし、項目別の適正予算はなくとも、家計収支全体という観点からいえば赤字というのはありえなく、黒字にするのが基本となります。

簡単に言えば、家計が黒字であれば項目別の内訳は臨機応変でかまわないということになるのです。質問に書かれている食費、光熱費、通信費、教育費、衣服など家計にはさまざまな支出項目がありますが、通常は各家庭によって支出にメリハリをつけて管理されているのです。

これが食費は20%、光熱費は8%、通信費は5%など、画一的に割り振ってしまうとある家庭には適正予算でも、別の家庭では、わが家は食べ盛りの子供がいるので食費は25%が適正などと適正予算ではなくなってしまうのです。

したがって、各項目別に適正予算を考えるよりも、家計全体で黒字にするという視点で家計管理を行えばよいのです。あえて予算を組むならば、質問者の方が優先する、言い換えればあまりカツカツの予算を組みたくない項目は少し余裕を持った予算にし、支出を絞ってもかまわない項目は無駄を省くなどのメリハリをつけられるとよいでしょう。

適正予算が必要なのであれば

どうしても適正予算が必要なのであれば、月間より年間の予算を立てられてはいかがでしょうか。この場合も項目別に何にいくらではなく、年間の収支で考えるのが基本になります。

ご質問者は、手取り年収が800万円程度と記載されていますが、例えば支出を600万円以内に収めて200万円は貯蓄すると決めたとします。

年末に実行できたか否かを確認し、また翌年初にその年の年間予算を組むというスタイルです。

月ごとに予算を組むのであれば、年間予算を組んだ後、年間200万円の貯蓄額であれば、12で割って1ヵ月当たり均等に貯蓄を行うか、ボーナスのある7月、12月はがんばって貯蓄をする分、残りの10ヵ月は均等よりも少なくするなどと考えられるとよいでしょう。住宅ローンのボーナス併用払いと同じ考え方になります。

最後に貯蓄額については、2016年5月17日に総務省統計局が公表した家計調査報告の数値をご紹介しましょう。

2人以上世帯の貯蓄額は、全体の平均値で1,805万円、中央値で1,054万円になります。勤労者世帯だけの数値では、全体の平均値が1,309万円、中央値が761万円になります。

世帯主の年齢別平均貯蓄額では、40-49歳未満が1,024万円、50-59歳が1,751万円となっています。ひとつの目安として参考にしてください。

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