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“悪魔の実”が“金塊”に、アジア発「ドリアン旋風」のナゼ

産地では“ドリアン長者”も出現

日本でも数年前に家電製品や紙おむつをターゲットにして巻き起こった、中国人による“爆買い”。その矛先が今、タイに向かっています。

彼らのお目当ては、フルーツのドリアン。1月28日付の日本経済新聞でも、タイの産地でドリアンの価格が3倍になったことを報道。2018年の収入は1億円に達し、「ドリアンが金塊に化けた」と現地の声を伝えています。

いったい、なぜ今、中国人の間でドリアンがここまでの人気を誇っているのでしょうか。


おいしさがわかるのは3度目から?

「フルーツの王様」と呼ばれるドリアン。甘みが強く、クリームチーズのようなネットリとした濃厚な食感にハマる人がおり、熱狂的なファンが存在します。

しかし、「悪魔のフルーツ」という不名誉な呼称も併せ持つのがドリアン。「バラエティ番組の罰ゲームに使われる激臭」「濡れた靴下を放置した悪臭」とも形容されるような独特の臭いが、その理由。それゆえ、ドリアンの魅力は1度や2度食べた程度ではわからず、「おいしさがわかるのは3度目から」と評されています。

日本での流通量は極めて少なく、財務省の貿易統計によると国内のドリアンは98.2%がタイからの輸入です。輸入量はわずか137トンにとどまります(いずれも2017年)。ほぼ全量を輸入に頼っているバナナは年間約98.5万トン(2017年)ですから、ドリアンはバナナのわずか0.01%しか日本に入ってきていないのです。

もちろん、日本人にも熱狂的なドリアンファンは存在します。しかし、その多くはマレーシアやタイなど、東南アジアに住んでいる日本人なのです。

独自の進化を遂げる中国のドリアン料理

東南アジアではドリアンをそのまま食べるほか、バニラアイスを添えて食べる「ドリアンアイス」、ドリアンに砂糖を入れて煮込んで食べる「ドリアンジャム」、そしてドリアンをバナナや牛乳とミキサーして食べる「ドリアンスムージー」といった食べ方を楽しんでいます。

しかし、中国では「ドリアンピザ」「ドリアン鍋」など本場・東南アジアに存在しないメニューを生み出し、独自の食べ方を楽しんでいるのです。中国人の胃袋をつかんだ理由は、単にドリアンの味だけではありません。

ドリアンはビタミンCやビタミンE、それに脂質が豊富に含まれています。ビタミンCやビタミンEは抗酸化作用があるとされ、体内の活性酸素を抑えることで「老化防止」や「がんの予防」にも役立つといわれます。

また、良質の脂質は美容や老化防止効果があるといいます。ほかにも、ビタミンB1は100グラム当たり0.33ミリグラムも含まれており、フルーツの中でもトップクラスの含有量を誇ります。

ドリアンは「食べる美容・健康フルーツ」として、特に美容や流行に敏感な中国都心部の女性に受け入れられています。上海の繁華街には、ドリアン鍋が人気のあまり、月に数十キログラムを使う店もあるそうです。

タイと同様の現象はマレーシアでも起きています。さっぱりした味わいのタイ・ドリアンに比べると濃厚でクリーミーなマレーシア・ドリアンも人気が高く、マレーシアで栽培される最高品種「猫山王(ムサンキング)」が売れています。猫山王は平均的なタイ・ドリアンの約10倍の価格ですが、より良いドリアンを求める中国人に大人気です。

日本でもドリアン旋風は起こるか

前述の通り、日本ではまだドリアンは浸透しているとはいえません。取り扱っているスーパーもなくはないですが、極めて限定的です。また、購入後外皮を剥くのは慣れていない人にとっては簡単ではありません。

そのため、日本国内で手軽に購入しようと思えば、ネット通販が便利です。ネット通販だとドリアンは外皮を剥いた果肉だけを購入することができ、真空パックされた冷凍便で届けてもらえます。自宅に届いて解凍すれば、すぐに食べることができます。

近年はどちらかといえば、ドリアンの輸入量は減少トレンドにあります。ピークの2003年と比べると、4分の1前後を推移しています。ですが、考え方によっては、まだ日本人の間でドリアンの魅力が伝わっておらず、ひとたび火が付けば、中国のように大きな盛り上がりを見せる可能性もありそうです。

特に最近は、タピオカミルクティーやチーズドックのように、アジアで人気のグルメが日本に上陸し、ヒット商品になるという現象が相次いでいます。2019年はもしかすると、日本におけるドリアンの位置づけが大きく変わる年になるかもしれません。

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