はじめに

今年も、インフルエンザが猛威をふるっています。各地で発令されたインフルエンザ警報は、解除されつつありますが、まだまだ注意が必要です。

インフルエンザのシーズンになると、常に話題になるのが、予防接種を受けたか、今年のワクチンは当たった/外れた等の「ワクチン」の話題ではないでしょうか。

そこで、今回は、インフルエンザワクチンに注目したいと思います。予測が外れたら、予防接種は効かないの?インフルエンザワクチンの効用とは?といった疑問についてもみてみましょう。


例年の同時期と比べて患者数は多い

2018/19年シーズンのインフルエンザは、例年並みの第49週(12月第1週目)以降、全国的に流行し、今年に入ってからは例年の同時期と比べて患者数は多めのようです。

図1 定点あたりインフルエンザ患者報告数1 過去5年間との比較(9~5月)

(資料)国立感染症研究所 疾病毎定点当たり報告数より筆者作成

今シーズンは、現在のところ、2009年当時「新型インフルエンザ」として大流行し、2011年移行「季節性インフルエンザ」に分類されることになったA型が6割を占めていますが徐々にB型が増えてきています。

過去5年間の平均を見ると、毎年状況は少しずつ異なりますが、前半にA型、後半からB型が流行ることが多く、今年も今後B型も流行る可能性があります。

図2 ウイルス型別の検出状況(2013/14~2017/18シーズンの5年平均)

( 注 )各シーズンにおける型別占有率を5シーズン分平均したもの 2009年の「新型インフルエンザ」と言われた型は、A(H1)
(資料)国立感染症研究所 インフルエンザウイルス分離・検出情報(週別)より筆者作成

予防接種用のワクチンの株はどう決まる?

インフルエンザウイルスには、A型やB型の中に更にいくつかの種類があり、毎年流行する種類が異なります。また、ワクチンの効果は5ヵ月程度しか持続しないため、毎年、ワクチンを新たに製造しています。

インフルエンザワクチンの製造においては、毎シーズン、世界保健機構(WHO)が世界的な流行動向に基づいて推奨する株(分離したウイルスを人工的に培養したものを「株」と言います)の中から、供給可能量等を踏まえて、国の指示に基づいて国立感染症研究所で決定されます。

今シーズンは、A型、B型それぞれ2株で構成されたワクチンが、累計で2650万本が製造されています。昨シーズンより少し多いとのことですが、不足が生じないよう昨シーズンと同様に13歳以上は原則1回の接種となりました。

予測が外れたら、予防接種は効かないの?

製造期間(6ヵ月程度とされています)も考慮して、流行の予測はかなり早い段階で行われますので、「その予測が当たらなかったら予防接種が無駄になってしまうの?」といった不安が聞かれます。

しかし、WHOの観測が充実したこと等により、最近では予測が外れることは少なくなっています。また、一般に、仮に1つの種類の予測が外れたり、最適な株でワクチンが製造できなくても、少なくとも残る3種類は通常どおりの効果が見込めるとされています。

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