はじめに

株式の価値と株価

そこでROEの高い企業の株式であれば、投資する人は純資産の価値よりももっと高い株価でも買いたい、と考えるはずです。

先ほどのA社やB社であれば、純資産は100円ですが、毎年10円や20円の利益を上げてくれる資産ですから、株価は100円よりも高くなるでしょう。そしてこれだけの情報で二つの会社の株価を比べるならば、B社の株価はA社よりもずっと高くなるのが普通です。

たとえばA社には140円、B社には200円の株価が付いたとすると、A社の株価は純資産の1.4倍、B社の株価は純資産の2倍ということになります。

これが「PBR」という指標です。Price Book Value、日本語で言えば「株価純資産倍率」。純資産に何倍の値段がついているのか、ということを表します。

この指標が何倍なら高くて何倍なら安いかという判断を下すには、利益以外にも考慮しなければならないことが色々とありますが、ここではROEに限定します。

たとえば例に挙げたB社の場合、ROEは20%でした。B社に出資することによってB社の株主は、その出資に対して20%の利益を上げていることになります。かなり高い収益率です。

この20%の利回りを持つ資産を2倍の価額で買う、というのが「PBR2倍」ということです。はじめに出資した株主にとっては20%だった収益率ですが、その株式を2倍の値段で買った株主にとっては、収益率は半分になります。この場合は10%。それでも結構高い収益率ですね。

これだけの情報から得る印象としては、PBR2倍の200円という株価は、B社の株価として高くはないように思えます。ただ、株価を評価するにはまだほかにも情報が必要です。

たとえばたった今出てきた10%は、現時点で買った場合の株主にとっての事業の収益率ですが、もちろんこういったものも株価指標の一つです。財務の安定性や成長の可能性など、また次回以降に少しずつお話ししたいと思います。

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