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報道された東証の再編案は何が問題なのか

国内新興市場の歴史と問題点を解説

東京証券取引所による、株式市場の再編機運が盛り上がっています。焦点とされているのは(1)東証1部の再編、(2)新興市場の集約、(3)上場廃止の基準引き上げ、の3点に絞られているようです。

日本の新興市場はどのような構図となっているのでしょうか。ここでは新興市場の現状と問題点などについて、また、直近3月16日に報じられた再編案についても考察してみたいと思います。


現在の国内新興市場構図

そもそも新興市場とは、どのようなものでしょうか?一般的には本則市場に対し、新興企業,いわゆるベンチャー企業が上場している市場を指します。具体的に東京市場であるならば、本則市場が東証1部・2部であり、新興市場は東証JASDAQスタンダード・グロースと、東証マザーズとなります。

図1

新興市場は東京市場のみではなく、札幌市場では札証アンビシャス、名古屋市場では名証セントレックス、福岡では福証Q-Boardの存在があります。いずれも新興市場の上場企業は成長過程にある半面、上場するための基準が本則に比べて緩く、株主数や上場時見込み時価総額など、一定の要件を満たしていれば設立間もない企業や赤字の企業でも上場できるケースがあります。

高成長が期待される半面、財務リスクなどが懸念される場合もあり、経験豊富な投資家向けの市場とも言われます。

国内新興市場において、最古の老舗であり、最大の上場企業数を誇るのが、東証JASDAQです。東証JASDAQ市場の前身は店頭市場であり、あくまでも本則市場の補完的な存在、取引所の基準を満たさない企業のための市場という位置付けでありました。店頭市場とはいいつつも店頭取引(OTC=over the counter)ではなく、実質的に市場取引が行われていました。

老舗JASDAQの誕生

正式に取引所として参入したのは2004年で、内閣総理大臣より証券取引所に関する免許の交付を受け、商号を「株式会社ジャスダック証券取引所」と変更しました。日本証券業協会が、株式会社ジャスダックに市場運営業務を委託しています。

JASDAQという商号は、米国のNASDAQ市場を意識したものでしょう。米国のNASDAQは世界最大のベンチャー市場であり、日本版NASDAQへの成長への意気込みが感じられます。折りしも2000年ごろは、世界的にインターネット企業が勃興する黎明期であり、成長期待企業の受け皿が新興市場であったわけです。

つまり、店頭市場がJASDAQ市場の母体となっており、国内新興市場の「老舗」とされる所以です。以降は、様々な有望企業がJASDAQへ上場することとなりましが、それ以前に店頭市場に登録されていた企業も自動的にJASDAQ市場企業となりました。

ここでJASDAQ市場を構成する企業の2極化が生まれます。すなわち、成長期待企業と自動的に移行してきた企業であり、投資家の日々の売買は成長期待企業へ偏重するようになります。

この問題は今に引きずられており、JASDAQ市場の値付率の低さの要因となっています。値付率とは上場銘柄のうちで立会中に売買が成立し約定値段が付いた銘柄の割合で、JASDAQでは投資家から見向きもされない銘柄が少なくないということです。

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