はじめに
それでも、会社を買うメリットはあるのか?
注意点はあるものの、やはり会社を買うメリットはあります。主なものを挙げると次の通りです。
1.会社を設立する手間が省ける
会社を一から設立する場合、会社設立の手続きからスタートさせて、事業に必要な資産を集めたり、必要なものを購入したり、場合によっては金融機関に借入を申し入れることになります。借入をする場合、会社の事業計画書の提出が求められ、準備に時間がかかります。
自分がやってみたいと思う事業を営む会社がすでにあって、会社ごと買うことができるのなら、これらの会社設立にかかる手間やコストを大幅に省くことができます。
2.既存の販売チャネルがある場合、営業の手間も省ける
自分で起業する場合、営業が成功しなければ売上はあがりません。会社を買う場合、すでに販売チャネルがあるなら、営業をしなくても売上があがることになります。株式を購入するだけで経営資源のすべてが手に入るので、それらを最大限に活用することができれば、起業するよりもはるかに効率よく、経営することが可能となります。
3.本業の仕事でM&Aの経験を生かすことができる
個人で会社を買うということは、個人でM&Aを経験するということです。本業の仕事でM&Aに今後携わる機会があるとすれば、その経験を活かすことができます。
4.会社員の給与を法人に支払ってもらうと税負担が減ることがある
高額所得者の会社員が、本業の勤務先から買収した会社に対して報酬を支払ってもらう契約に変えてもらうことができれば、所得税と法人税の税負担がトータルで安くなるケースがあります。なぜなら、所得税は給料が多くなればなるほど税率が高くなる累進税率ですが、法人税は収入に関わらず一定の税率を課す比例税率を採用しているからです。
会社の社内規定上、難しい場合がほとんどだとは思いますが、可能かどうか確認してみる価値はあると思います。
会社員が会社を買ったらどうなるのか、イメージが湧いたでしょうか。会社員でありながら、経営者として会社を運営するというのは並大抵のことではありません。しかし、ビジネスを取り巻く環境変化のスピードはますます加速化しています。苦労をしてでも、会社員兼経営者として働くことは、相乗効果を生み、得るものが大きいことは間違いありません。この記事が会社を買うことについて考えてみるきっかけとなれば幸いです。