はじめに
今年もゴールデンウィーク(GW)が近づいてきました。今年のGWは4月27日の土曜日から5月6日の月曜日までの10連休になります。
これは、皇太子さまが天皇に即位する5月1日が今年限りの祝日になり、国民の祝日を定めた祝日法で「その前日及び翌日が『国民の祝日』である日は、休日とする」と定めていることから、祝日の4月29日と5月1日の間にある4月30日と、5月1日と5月3日に挟まれている5月2日が休みになるからです。
新しい天皇の即位による祝賀ムードが高まる中で、過去に経験したことのない長い連休となる今年のGWは多くの企業に経済効果を与えそうです。ここでは、GW10連休の恩恵を受けそうな企業を紹介したいと思います。
10連休の恩恵を受ける旅行関連企業
GWの過ごし方を決めている人を対象とした民間企業の調査では、「国内旅行」と「海外旅行」が回答の上位を占めたというものがあります。旅行業界はGW10連休の恩恵を受ける代表的な業界といって良いでしょう。
大手旅行代理店のエイチ・アイ・エス(証券コード:9603)は、同社が扱う今年のGW10連休の海外旅行の予約売上高が前年同日比で3倍の大幅増になったといいます(2月19日時点)。観光地として人気のある欧州などで長い連休を過ごす旅行の予約が好調のようです。
東海旅客鉄道(JR東海、9022)をはじめとする鉄道各社にも追い風になりそうです。人気観光地でもある関西を主要運行地域としている南海電気鉄道(9044)は、南海空港線が関西国際空港に乗り入れており、ターミナル駅を再開発中のなんば周辺に行くことができることもあって、旅行者の利用が増えそうです。
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(4661)、遊園地やホテルを運営する東京ドーム(9681)のほか、観光地で販売されているお土産を扱う寿スピリッツ(2222)なども、連休中の収益拡大が期待できそうです。
近場や自宅で連休を過ごす人の需要を取り込む企業も
一方で、GW10連休を近場や自宅で過ごす人の需要を取り込む企業もありそうです。外食店や遊戯施設を併設したシネマコンプレックスを運営する東宝(9602)や、屋内型レジャー施設を運営するラウンドワン(4680)などは、近場の娯楽への需要を満たす企業といえるでしょう。
長い連休を自宅で過ごす場合には、普段よりも出前を利用する機会が増えそうです。日本最大級の出前注文サイト「出前館」を運営する夢の街創造委員会(2484)、宅配寿司「銀のさら」を扱うライドオンエクスプレスホールディングス(6082)などに追い風になると考えられます。
任天堂(7974)やソニー(6758)のゲーム機や、WOWOW(4839)やスカパーJSATホールディングス(9412)などの有料放送サービスに時間を費やす人、あるいはニトリホールディングス(9843)やコーナン商事(7516)などが運営するホームセンターを訪れて、家庭菜園やDIYを行う人もいそうです。
<文:投資調査部 シニアアナリスト 川崎朝映>