はじめに
「出版インディーズ市場」の形成を狙う
個性的な本の数々が集まる「おもしろ同人誌バザール」を主催するのは、サークル「版元ひとり」。代表の「臼井総理」さんは、タルタルソースの食べ比べ同人誌『このタルタルソースがすごい!』でタモリ倶楽部に出演した経験があります。
2016年6月に第1回のイベントを開催して以降、年2回のペースで実施し規模も拡大してきました。コミックマーケットを筆頭に同人誌即売会は多数ある中、なぜ「おもしろ同人誌バザール」を開催しているのでしょうか。
臼井さんに聞くと、同人誌市場を包含する形での「出版インディーズ市場」を形成する狙いがあるそうです。「オタク市場で閉じているには、もったいないネタがあるんですよ。たとえば、『マツコの知らない世界』や『タモリ倶楽部』に出演しているなど、一般の方でも面白いと思えるネタを持っている人がたくさんいます」
ニッチな分野に懸ける情熱に賑わう会場
しかし、音楽のインディーズ市場はセミプロなどが収益を上げることに積極的な一方で、出版の同人界隈では一般的に小規模サークルが「稼ぐ」ことへの風当たりが強いそうです。「アマチュアだけでなく、セミプロやプロ、中小出版社や編集プロダクションなどが入り混じった市場を形成したい、というのが僕らの考えです。誰しも作り手になれるし買い手にもなれる、そういうめぐりをつくりたい」と臼井さんは語ります。
「もちろん趣味としてマイナーな方に閉じる人がいていいし、商業本としてマスベースで売れる本も出るかもしれない。中には生業にする人が一人でも出たら面白いですね。たとえば極端な話、サザエさんのジャンケンを研究をするだけでご飯が食べられたら、それはそれですばらしいじゃないですか」
次回の「おもしろ同人誌バザール」は、今年秋に神保町で開催予定。あなたも「情報系同人誌」のディープな世界にハマってみませんか。
<文:編集部 小島和紘>