はじめに

「IKEA」が、4月から本格的なネット通販を始めると発表した。日本では2006年に1号店が船橋に誕生して以来、全国に9店舗を展開している。

低価格なうえに北欧らしいすばらしいデザインの家具が買えるということでIKEAは一躍有名に。一時期は客が押し寄せ、週末には店舗周辺で「IKEA渋滞」が起きるとまで言われたが、実は直近の業績はやや減速していたようだ。

気になるその減速の理由、そして通販がIKEAに再成長をもたらすのか。状況をまとめてみよう。


IKEAの不思議なビジネスモデル

IKEAはスウェーデン発の家具小売り世界最大手企業だ。店舗は大きな倉庫のようなつくりで、コーポレートカラーのブルーに塗られた外装と、同じくコーポレートカラーのイエローのロゴが印象的。

まだIKEAに足を運んだことがない方に「どんなお店なのか」を説明するのは難しいのだが、おそらく全国どこにでもあるニトリの「お値段以上」で人気の商品が、さらにお値段以上になったうえに北欧のすてきなデザインになったと言えばご理解いただけるだろうか?

ほかIKEAの特長は、家具が組み立て式というところにある。それも、ちゃちな組み立て家具ではなくて、本格的な家具なのに組み立ては自分でやらなくてはいけないという不思議な売り方をしている。

実はこれはれっきとしたビジネスモデルで、IKEAの商品は本格的な北欧家具なのにコンパクトな部品に分解できて、段ボール箱に無駄なく小さくおさまるようになっている。だから倉庫での保管コストが少なくなって、価格も安くできるのだ。

IKEAの配送料金はとても高かった

さて、このようなビジネスモデルから、IKEAの販売方式は少し変わっている。基本的に車で来店した顧客が持ち帰って自分で組み立てるという場合には非常に安い。

一方で、配送や組み立てサービスに対しては消極的で、おそらく、わざとそういったサービスを使いづらく設定しているように思える。配送サービスや家具の組み立てサービスもあるのだが、基本的に「そういったサービスもありますが、使わないほうがお得ですよ」とでも言いたげな価格設定になっているのだ。

私は東京の新宿に住んでいる。IKEAに最初に訪れたのは10年ほど前の取材だったが、以後ファンになってしまい定期的に通っている。新宿近辺には店舗がないので、新横浜(神奈川)か新三郷(埼玉)の店舗に行くことが多い。

もし、そこから我が家に配送してもらおうとすると、これまでは料金がとても高かった。新三郷の場合、東京23区はゾーン2というエリアに設定されていて、配送サービスの基本料金は合計重量150kgまで均一5,990円だった(後述するように直近、この価格は変更になっている)。

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