はじめに

組み立てサービスも高額

家具を自分で組み立てられないという人は、家具組み立てサービスを頼むこともできる。その場合の基本料金は5,000円で、それに加えて組み立て料金が家具の価格の20%かかる。

もしあなたが、3万2,000円の洋服棚を購入し、それを自宅まで配送してもらって、組み立てもお願いすると配送と組み立てで約1万7,000円の追加料金がかかっていた。

そのお金をまったく気にせず支払う富裕層も当然存在するのだが、我が家のようにつつましく暮らしている人の多くは「それならば自分で持ち帰って、自分で組み立てよう」と考える。

実際、IKEAのビジネスモデルはそのようにセルフサービスですべて行う人が多いほうが儲かるビジネスモデルになっている。

ところが世の中、そうもうまくはいかない。実際、先ほど例にあげた3万2,000円の洋服棚は私が娘の高校入学祝いに購入した商品なのだが、高さ210cmの棚を自家用車で持ち帰るのはかなり大変だ。

私の車は7人乗りなので、それなりに収納スペースは大きい。それでも210cmとなると車の全長ぎりぎりいっぱいで、持ち帰る際は助手席を倒し、車の左半分の座席をフラットにして縦に家具を積んで、私たち家族3人は車の右半分に3列に座って移動することになった。

私は5,990円の配送料は高いと思って、自力で持ち帰った(なにしろ高速料金だけでもすでに往復2,600円支払っているのだ)。

しかし、世の中にはもっと合理的に考える人も多いようで、IKEA開店当時の配送カウンターは大混雑していた。それがきっかけで配送量を制限したり、料金を値上げしたりしたことが現在の価格体系につながっているようだ。

通販登場で新しい買い方も

開業当時はこのような抑制策が有効だったが、そのことでIKEAジャパンの売上が頭打ちになるという状況が生まれているようだ。

2016年8月期の売上は前年比2%減の767億円。5年前と比べても、売上がそれほど増えているわけではない。そこでネット通販に本格参入するということなのだろう。

4月からの通販開始をにらんでのことだろうか、実は2月23日からIKEAの配送サービス料金がゾーン(配送エリア)に関係なく一律3,000円に引き下げられた。これなら私も以前よりIKEAを使いやすくなる。

また、通販が始まれば、一度店舗を訪れて気に入った商品をメモしたうえで、自宅に戻って間取りと家具の配置を検討し、ネットから注文することもできるようになる。

その意味で、IKEAのネット通販参入は新規客の獲得以上に、既存客の購買体験が向上するメリットが期待されるのだ。

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