はじめに

支持線と抵抗線の“役割逆転”に注目

続いて、中小型銘柄の多いジャスダック市場の動きをチェックしたいと思います。

下図の注目ポイント(1)を見て下さい。2006年1月高値2,904円と2015年7月高値2,847円は横ばいトレンドの高値水準を形成しており、長期トレンドの上値抵抗線を形成していました。

ジャスダックチャート

しかし、この上値抵抗帯を2017年2月の終値で上回り、トレンドが転換。2018年1月の史上最高値4,317円まで上昇した後、調整して、同年12月には3,035円まで下落しましたが、この水準で下げ止まっています。

過去の上値抵抗水準がその後の重要な下値支持線に転換するという“役割の逆転”が起きていることがわかります。

注目ポイント(2)では、2006年1月高値をピークにして調整局面に入る中で、60ヵ月移動平均線が“押し目の限界”とみられていましたが、終値で割り込み、2009年3月に994円まで下落。重要な下値支持線を割り込んだことで、これまでの下値支持線が長期的な上値抵抗線へと役割が逆転しました。

史上最高値への接近も期待?

その後、注目ポイント(3)の局面になって、下向きの60ヵ月移動平均線を終値で上回り、日経平均に先駆ける形で2012年3月に下落トレンドが終焉しました。そこからしばらくは横ばいトレンドを形成。2012年3月高値を上回ったのは同年12月で、日経平均と同じ月にトレンドが転換しました。

注目ポイント(4)と(5)は共に、上向きの60ヵ月移動平均に対して押し目を形成する「グランビルの買い法則」の3番目の法則通りの動きといえそうです。

この法則は、株価が移動平均線の上にあって、株価が移動平均線に向かって下落したものの、交差することなく再び上向きに転じた場合に発現します。当面は、上向きの60ヵ月移動平均線が重要な下値支持線となりそうです。

注目ポイント(6)では、2006年1月以降、平均的な34ヵ月サイクルが日経ジャスダック平均の重要な高値や安値の節目で到来していることが確認されています。したがって、2016年2月と2018年12月安値が移動平均線とサイクルのボトム形成の両面で、当面の安値を形成したことを示している可能性が高いと見られます。

今後は、上向きの60ヵ月移動平均線を下値支持線として、上値抵抗線となっている24ヵ月移動平均線を回復。2018年1月の史上最高値に接近する相場展開が期待されます。

<文:投資情報部 高橋幸洋>

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