はじめに

5月1日に新天皇が即位され、元号は平成から令和へと変わります。ご即位を祝って5月1日は国民の祝日となり、祝日に挟まれたその前後も休日となることから、平成から令和をまたぐゴールデンウイーク(GW)は10連休になります。

しかし巷の声に耳を傾けてみると、日本中がお祝いムードに湧く一方で、GWが10連休となることについては必ずしも歓迎の声ばかりではないようです。

その背景を探るべく、しゅふJOB総研では仕事と主婦業を両立させたいと考える"働く主婦"層にアンケート調査を行いました。果たして、調査結果から見えてきたこととは?


GW10連休なんて、嬉しくない?!

まず、働く主婦層に「あなたはGWが10連休となることをどう思いますか。(単一回答)」と質問したところ、「嬉しい」と回答した人よりも、「嬉しくない」と回答した人の方が7.1ポイント多いという結果でした。

あなたはGWが10連休となることをどう思いますか」

有効回答数1,000人

次に、先ほどのアンケート回答者のうち、いま就業中の人だけに「GWが10連休となることで、仕事にどんな影響があると思いますか。(複数回答)」と尋ねてみたところ、以下の結果となりました。(サンプル数nはグラフ上に記載)

GWが10連休となることで、仕事にどんな影響があると思いますか

「出勤日が少なくなり、収入が減少しそう」という回答が最も多く47.8%に及びます。続いて「業務にしわ寄せがきて大変そう」が43.8%。10日連続で仕事を休めたとしても、その分収入が減ってしまったり、業務にしわ寄せがきてしまうとなれば、確かに手放しでは喜べない気持ちになりそうです。

「GW中も出勤することになりそう」と答えた人は、24.3%と1/4近くに及びます。カレンダー通りに10連休が取得できる働く主婦層は3/4しかいないようです。その影響は、休めない本人はもちろん、一緒に休日を過ごすことができない家族にまで及ぶことになります。

さらに、注目すべきは「業務を調整してゆっくり休めそう」と答えた人の比率の低さです。8.1%しかいません。この結果をそのまま裏返すと、9割以上が「ゆっくり休めない」と感じていることになります。せっかくの10連休を「嬉しくない」と思うのもうなずけるのではないでしょうか。

10連休が「嬉しい」人であっても…

GW10連休の仕事への影響について尋ねた先ほどのアンケート結果をさらに分析し、GW10連休を「嬉しい」と思っている人と「嬉しくない」と思っている人とで比較したのが以下のグラフです。(サンプル数nはグラフ上に記載)

GW10連休を「嬉しい」と思っている人と「嬉しくない」と思っている人

GW10連休が「嬉しい」人であっても、「出勤日が少なくなり、収入が減少しそう」「業務にしわ寄せがきて大変そう」がトップ2になっています。

また、「業務を調整してゆっくり休めそう」と回答している人は19.7%。8割以上が「ゆっくり休めない」と感じているのに、GW10連休を「嬉しい」と思っているのは不思議な印象を受けます。

ゆっくりは休めなかったとしても、仕事から解放され、家族と共に過ごしたり、自由な時間を使えることが嬉しいということなのかもしれません。

ゆっくり休める社会になるために

改めて最初のグラフを見返してみると、「業務を調整してゆっくり休めそう」と思っている人が全体の8.1%しかいないのに、GW10連休を「嬉しい」と思う人が36.4%いるというのは、むしろ多いようにも感じます。

少しうがった見方をすると、働く主婦層は、それだけ「休む」という行為に慣れていないということなのかもしれません。そしてそれは、働く主婦層に限らず、日本で働く私たち全員にあてはまることかもしれません。

もし、休日にゆっくりはくつろげないものの、公然と仕事から解放される「許可」が得られるだけで嬉しい…と感じているのだとしたら、私たちは、実は自覚している以上に辛い仕事環境に置かれているということなのではないでしょうか。

そうだとしたら、休日に「ゆっくり休む」ことができるようにすることで、今よりもさらに働きやすい社会にできる可能性を秘めているとも言えます。

忘れてはならない、休日の"盲点"

連休取得時の課題を改善するには、収入減少や業務のしわ寄せを心配することなく、事前に業務を調整してしっかり休める体制・仕組みをつくる必要があります。それは、表層的な改善策で実現できるようなものではありません。今の業務体制を根本からつくり変えるほどの改革が必要になります。働き方改革とは、本来そういうものなのだと思います。

一方で、忘れてはならない"盲点"があります。アンケートのフリーコメントに寄せられた「主婦業は休みにならない(50代:パート/アルバイト)」という一言が、その"盲点"を端的に表しています。主婦からしてみれば、あまりに当たり前の話ですが、そのことを他の家族はどれだけ認識しているのでしょうか。

仮に、休日に「業務を調整してゆっくり休める」社会が実現できたとしても、主婦業には休みがありません。休日に家族全員が家にいる状態というのは、主婦業にとってはむしろ繁忙期です。休日を家族全員にとっての「休み」にするためには、そのことを家族全員で認識する必要があります。

働く主婦層が休日にゆっくりと休むことができるかどうか、という課題を解決するための最終的な鍵は、最も身近な存在である「家族」が握っているのだと思います。

この記事の感想を教えてください。