はじめに

奴隷になったら本当に愛されない

データから見るならば6割から7割程度の母親が働いていますので、結婚後に子供ができたら働き続けることは難題である、とはいえません。しかし、子供ができても仕事の内容や職場を変えずに済むかどうか、という重要情報をこのデータは示していません。転職リスクや非正規への変更リスクは不明です。

では、今の仕事が忙しい、面白い、資格を取りたい、となった場合、結婚や子供を持つことを諦める、または先延ばしにしよう、ということになるのでしょうか。

『選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の婚活論』(講談社刊)が、結婚相談所の関係者や結婚に向けた活動をしている女性に大人気のようです。日本人で唯一の大統領夫人であるデヴィ夫人は、日本の女性が「愛情=男性に尽くすこと、いいなりになること」と勘違いして奴隷のようになってしまうことは、幸せにはなれない、男性から本当には愛されない結果につながると警告しています。

この警告と、最初に書いた「『そろそろ結婚はしたい。でも、目の前の仕事が忙しくて、面白くて、資格取得までは……』と、結婚に向けた取り組みをなんとなく先延ばしにしているかもしれない女性が少なくない」は根底で同じことを示していると思います。

大切なのはパートナーとの交渉

仕事のために結婚を諦める・先延ばしにする、というのは、そもそも「パートナーとなる(かもしれない)男性に、自分の仕事・生き方についてしっかりプレゼンし“互いの仕事の折衷案を考えて”結婚・出産・育児をプロデュースするための交渉を女性が行うことを放棄する」という前提があります。

つまり「彼の協力はありえない女性の仕事と家庭の両立発想」から来る諦め、または先延ばし行動なのです。

「男女が対等な結婚」には当たり前の2人の間のライフデザイン交渉なのですが、なぜか「もし男性の仕事が忙しいと無理だから」「もし男性が資格取得中だったら無理だから」「男性には家事育児は期待できないだろうから」という発想を当たり前として、自らの結婚行動を先延ばしにする女性がたくさんいます。

一方、男性はどうでしょうか。そういった視点で結婚を考える男性はあまり見かけません。むしろ、本格的に忙しくなるのでもう遊べないし、そろそろ結婚はしておきたい、という考えは見聞きします。男性と女性では、まったく逆の発想です。

昨年、ライフデザインに関する講演会で、「バリキャリウーマン」という言葉に憧れ、「なので結婚はいいです」と思っていたという女子大生がいました。しかし、夫婦で「バリキャリかつ子供がいる」という家庭を知って、「やはり結婚はしたいです」とライフデザインを変更しました。

活躍したいと言いつつも、いつの間にか結婚に関しては、その前提の恋愛も、結婚も、結婚後の出産も育児も「彼の都合がメインで私がサブ」を前提としてしまっている女性が多い日本。仕事を理由に結婚を先延ばしにしている時点で、対等な幸せを諦めている、自ら遠ざけているのだと気がついてほしいと思います。

この記事の感想を教えてください。