「品川を傘のいらない街にする」。こんな構想をぶち上げたのは、Nature Innovation Groupの丸川照司社長。傘のシェアリングサービス「アイカサ」を展開するスタートアップ企業です。

4月17日に開かれた「京急アクセラレータ・プログラム」第2弾についての記者説明会で、京浜急行電鉄とタッグを組んでオープンイノベーションに取り組む企業5社が発表されました。どのようなスタートアップ企業が選ばれたのか、深掘りしていきます。


1日70円で傘をレンタルし放題に

Nature Innovation Groupによるサービス「アイカサ」は、駅近くの飲食店やオフィスビルなどの遊休スペースに傘のシェアスポットを設置し、1日70円で傘がレンタルし放題になるサービスです。東京・渋谷を中心に「メガネスーパー」「カラオケの鉄人」など約100ヵ所で展開しています。

レンタル開始から返却までLINEを利用する仕組みで、利用者はまず傘のシェアスポットを検索して、借りられる場所や利用可能な時間を確認します。現地に着いたら傘の手元に貼られたQRコードをスキャン。LINEに表示された番号を入力すると、ダイヤルロックを解錠できます。


傘の手元に貼られたQRコード

利用料金は1日延長するごとに70円加算。1ヵ月の上限は420円となっているので、6日目以降は何回借りても追加料金は発生しません。決済は事前登録したクレジットカードを使用。借りた場所以外でも返却可能になっています。

同社の丸川社長によると、日本は年間8,000万本のビニール傘が消費されているといいます。「傘が欲しくなるのは移動する瞬間。雨の日に電車を降りた後、徒歩の時は傘が必要になります。まずは品川駅周辺のオフィスビルや商業施設にアイカサを設置し、品川を雨の日に優しい傘がいらない街にします」。


Nature Innovation Groupの丸川社長

また、中期的には京急グループの「雨の日のプラットフォーム」を目指すと意気込みます。京急グループ保有の商業施設、オフィスビル、レジデンス、ホテルなどの利用者に、雨の日限定のクーポンやショッピング情報を配信することで、消費が落ち込みがちな雨天の日にも需要を創出をしていきたい考えです。

荷物預かりサービスで「手ぶら観光」実現

荷物預かりサービス「ecbo cloak(エクボクローク)」を運営するecboも、今回選出されたスタートアップ企業の1つ。「荷物を預けたい人」と「荷物を預かるスペースを持つ店」をつなぐシェアリングサービスを提供しています。

今回、京急の主要駅(品川、川崎、横浜、京急蒲田)の周辺店舗や施設で荷物を預かり、駅ナカや電車内の混雑緩和を目指します。また、荷物があると行動範囲が制限されますが、同サービスによって「手ぶら観光」ができるようになる、とアピールします。

ほかにも、ヘリコプターのライドシェアサービスを展開する「AirX」、AIチャットボットを活用したホテルの宿泊予約支援サービス「tripla」 、タクシーの相乗りサービス「NearMe」が選出されました。

京急は「モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出」を新規事業のビジョンに掲げています。今回は、デジタル領域のテクノロジーやビジネスモデルによって「新しい移動手段」や「移動先をより快適にするサービス」の創出に挑むスタートアップ企業5社を、102社の応募の中から選んだといいます。

今後、採択された各社は8月に開催する成果発表会に向けて、京急グループのリソースを活用したテストマーケティングを実施。京急沿線のライフスタイルが一変するようなイノベーションは生まれるのか、実証実験の成果に期待が高まります。

<文:編集部 小島和紘>