はじめに

ヨーロッパの夏休みが長いというのはよく知られた話。イタリアの会社員も夏のバカンスは最低2週間、長い人はうまく有給をやりくりして4週間ほども旅行に出かけます。

しかし、それだけの長期休みとなると気になるのはお金のこと。そんなに休みが取れるなんて……とうらやましく思う反面、長期の旅行に出かける費用をどうしているのか気になる人もいるかもしれません。イタリア人はバカンス好きというイメージがありますが、実際はどのくらいのお金をかけているのでしょうか。


夏のバカンスにかける費用は744ユーロ

イタリアのトゥデイ紙が2018年に行った調査によると、イタリア人が夏のバカンスに使う金額は一人あたり平均744ユーロ(約93,600円)とのこと。この金額をどう感じるかは人それぞれだと思いますが、国内旅行・国外旅行を含んだ平均値で、さらに2〜4週間分の旅行費と考えると、かなりリーズナブルと言えるのではないでしょうか。

実際のところ、イタリアのまわりの友人に聞いてもバカンスで大金を使ったという話はあまり聞きません。中にはモルディブやタイのリゾート地で散財する人もいますが、それはあくまで一部の話。ほとんどの人は工夫しながらリーズナブルなバカンスを楽しんでいます。

イタリア人のバカンスは滞在型

お金をかけずにバカンスを楽しむ、その秘訣はどこにあるのでしょうか。その理由の一つには、まず旅のスタイルが大きく違うことがあげられます。

イタリア人のバカンスは基本的に滞在型です。旅行というといくつかの観光地を周遊するイメージがありますが、イタリアでは一つの場所に留まってのんびりした時間を過ごし、リフレッシュするのが好まれます。

イタリアの旅行業界紙コンフェセルチェンティ紙の調査によると、夏休みの旅行先の62%は海なのだとか。以下ランキングは「都市(14%)」「山(11%)」と続きますがあくまで少数派。イタリア人に「夏休みはどこに行くの?」と聞かれたら、それは「どこの海に行くの?」という意味だったりするほど、海は定番の旅行先なのです。

滞在期間中にいくつもの観光地を周遊する旅行は、移動費や入場料など何かとお金がかかりますが、海ならその心配もありません。LCCや自家用車で海辺まで移動したら、あとはゆっくりと浜辺で日焼けしたり、泳いだりするだけ。結果として、バカンスにかかる費用もリーズナブルなものになるのです。

食事や宿泊にもお金をかけない

バカンスにかかる費用は移動費や入場料だけではありません。大半を占める外食費や宿泊費を抑えるのも大切なポイント。そのため、イタリアではバカンスの滞在先としてキッチン付きのコンドミニアムやキャンプ場がよく使われます。こうすることで、宿泊費はホテルの半分程度で抑えることができます。

アパートの一室をコンドミニアムとして貸していることも
アパートの一室をコンドミニアムとして貸していることも

いずれの場合も食事は基本的に自炊。同じ場所に長期間滞在するため、スーパーや市場などで食材や調味料を買い込んでも無駄になりません。旅行中だからといって外食ばかりになるのではなく、自炊すれば普段と同じ金銭感覚で生活することができます。

以前、バカンスに出かける直前の友人宅を訪れたことがありますが、その時はなんと食材までカバンに詰め込んでいて驚きました。なんでも、出発前までに冷蔵庫の整理が終わらなかったので、余った食材を持っていくのだとか。ずいぶんしっかりしているなと思いましたが、その金銭感覚こそが旅行費用を節約するポイントなのかもしれません。

イタリア式バカンスでリフレッシュを

実際に計画を立ててみると分かりますが、旅行にかかる費用はついつい増えてしまいがちです。せっかくその土地に行くなら観光も食事も妥協したくないし、旅のテンションで「まあいいか」とつい予定外の出費をしてしまった経験は誰にでもあるでしょう。

もちろんそれはそれで楽しいのですが、あとから旅行費用を計算して愕然とする事態は避けたいもの。今年の夏は、ひとところに留まってしっかりとリフレッシュでき、さらに費用も抑えられるイタリア式のバカンスなんていかがでしょうか。

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