はじめに

あなたは「子どもが産まれたら夫婦で協力して子育てしたい」と思いませんか?厚生労働省「平成29年度雇用均等基本調査」 によると、男性の育児休業(以下「育休」)取得率は徐々に高くなっているものの、平成29年度は5.14%であり女性の83.2%に比べるとかなり低い数字といえます。

男性が育休取得に踏み切れない理由は、職場の雰囲気や仕事の調整以外にも「減収」が思い浮かぶことでしょう。しかし実は、育休制度をよく理解して利用することで育休中の減収は最小限に抑えることができます。

今回は、減収の備えとなる育児休業給付金のほか、男性育休の特別制度や育休中の就労条件など、男性の育休取得を応援するお役立ち情報をご紹介します。


育休中は最大で休業前月収の実質9割以上がカバーされる

育休中は無給となる会社が多いですが、その代わりに最大で休業前月収のおよそ6割となる「育児休業給付金」が雇用保険から支給されます。加えて「社会保険料の免除」と「税金の減額」により、およそ3割以上の負担軽減が発生します。そのため手元に残るお金で考えれば、最大で休業前月収の9割以上をカバーすることができるのです。

(1)最大で休業前月収の67%!育児休業給付金

公務員や会社員など、一定条件を満たした雇用保険の加入者に支給される育児休業給付金は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(育休開始6カ月経過後は50%)」となります。
例えば休業前6カ月の交通費や残業代を含めた平均給与が月額30万円の場合、育休6カ月までの給付額は約20.1万円となります。

(2) 社会保険料免除で約14%の負担軽減

育休中は厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料が免除される制度があります。勤務先から給与が支払われない限り、雇用保険料も発生しません。社会保険料の負担額は所属している健康保険組合によって異なりますが、収入のおよそ14% といわれています。

たとえば月収30万円の人であれば約4.2万円負担が減ることになります。ボーナスにかかる社会保険料も対象となるため、ボーナス支給月が育休期間に含まれていると手取り収入が大きく増えることもあります。

なお、社会保険料が免除となるのは「育休終了日翌日の前月まで」です。1カ月未満の育休では免除対象とならないことがあるのでご注意ください。

(3) 税金の負担軽減は月収のおよそ13%以上

育児休業給付金は非課税なので、育休中に無給となった分に応じて所得税や住民税の負担額は少なくなります。給与にかかる税金は、所得税5%~45%(所得金額による)と住民税約10%で合計15%以上です。

社会保険料が免除となる影響で税金が増える(※)ことを考慮しても、およそ13%以上の税金の減額が期待できます。税金の負担軽減は、毎月の所得税の給与天引きが減額される以外にも、年末調整で所得税が還付されたり、育休の翌年6月から給与天引きされる住民税の金額が減ったりする形で現れます。

ただしこれは育休を取得しても所得税や住民税の負担が発生する場合を想定しています。長期間の育休取得により所得税や住民税の支払いが必要なくなるほど収入が減る人や、住宅ローン控除やふるさと納税などでもともと支払う税金が少ない人は、休業前と比べたときの負担軽減割合はもっと低くなります。

※社会保険料免除により社会保険料控除額が減ることとなる。社会保険料は月収の約14%であることから、その約15%(所得税と住民税)である約2%が想定される増税額となる。

育休前後の家計の変化(取得期間は6カ月未満を想定

※資料:執筆者作成

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