はじめに
景気の先行きについては、「減速する経済成長、再加速は不確実」とされたIMF(国際通貨基金)の世界経済見通し(4月)など、弱気の見方もあります。その半面、足元では中国、米国などの景況感に対する投資家心理は改善しています。
実際のところ、世界経済はどのような局面にあるのか。大型連休に入る前に、現状を整理しておきたいと思います。
今後の投資判断のポイントは?
予想と比較して上振れた経済指標が多いことを反映して、アセットマネジメントOneが算出している経済指標サプライズ指数(グローバル総合、MSEと呼んでいます)も大きく上昇に転じており、変化を重視する投資家の心理は相当改善したと思われます。
加えて、2019年1月に米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が利上げの継続に対して慎重なスタンスを示したことも、今年に入ってからの米国や日本の株価上昇要因であると思われます。
現在両立していると思われる「改善している景況感」と「政策金利引き上げは少なくとも当面休止という見方」がどのように変化していくかが、今後の投資判断のポイントであると考えられます。
相場にはどのような局面があるのか
概念的な景況感と金融政策、そして株価との関係は、下図のようなイメージ図で説明されることがあります。
(1)業績相場:景況感が好調なことは通常、企業業績の好調につながるため、株価が上昇。
(2)逆金融相場:景況感の好調が続くと、中央銀行は政策金利の引き上げなど、引き締め的な金融政策を選好。引き締めへの懸念から、株価は下落に転じる。
(3)逆業績相場:引き締め的な金融政策が実行されたことにより景況感が実際に悪化し、株価はさらに下落。
(4)金融相場:中央銀行が緩和的な金融政策を実行することにより、株価が上昇に転じる。
こうした流れを経て、再び業績相場に戻るという循環的な考え方です。これは、景気と金融政策の循環と株価の上昇・下落という視点を組み合わせた古典的な概念ですが、最近の株価変動に当てはめることができるのでしょうか。