はじめに
高級感があり、機能的なイメージがある野村不動産の分譲マンション「PROUD(プラウド)」シリーズ。日本を代表するマンションブランドの1つとして、同社の屋台骨を支えてきました。
しかし、親会社である野村不動産ホールディングス(HD)が4月25日に公表した2020~2028年の新たな中期経営計画では、この住宅事業で大きな方針転換が打ち出されました。その内容と背景を深掘りしてみます。
屋台骨の住宅部門で減益に
野村不動産HDが中期計画と同日に発表した2019年3月期決算は、売上高が前期比7.2%増の6,685億円、本業の儲けを示す営業利益が同3.3%増の791億円と、いずれも前年度を上回りました。
しかし、同社が強みを発揮してきた住宅部門では、計上戸数が増加し、売上高は前期を上回った一方、経費が増えて営業利益は同13億円減の231億円に落ち込みました。
その結果、今回の決算では、2015年に発表した前回の中期計画の目標を達成することはできませんでした。これを受け、沓掛英二社長は「非常に速いスピードで不動産業界全体が変わってきている」と危機感を口にしました。
ファミリー世帯を前提にした従来のビジネスモデルに変化の兆し
少子高齢化でファミリー世帯が減少し、単身やシニア世帯が増加。ライフスタイルや価値観は多様化し、誰もが同じようなマンションを欲する時代ではなくなりつつあります。分譲マンションをめぐる環境は急速に変化しており、新たな中期経営計画の必要性を強調しました。