はじめに

この春から営業部門に配属され、やりがいと同時に戸惑いも感じているビジネスパーソンも多いことでしょう。モノやサービスが簡単に売れる時代ではありませんから、プレッシャーに思うのも当然です。

そんな皆さんに向けて、営業コンサルタントで、ベストセラー「絶対達成シリーズ」や『この1冊ですべてできる 営業の基本』の著者である横山信弘さんから、営業パーソンがまずおさえておくべき「いい印象の与え方」について解説してもらいました。

(本稿は同書第4章「営業のスキル」の一部を抜粋、再編集したものです)


第一印象より大事なこと

Q. 営業に配属されましたが、初対面の人が苦手です。第一印象だけでもよくしたいのですが、どうすればいいのでしょう?

A. 印象は「習慣の集積」によって決まります。

営業は「第一印象」が大切です。身だしなみや表情、姿勢、明瞭でわかりやすい話し方など、第一印象をよくするために心がけることはたくさんあります。
 
しかし、大切だとはいっても、「第一印象ですべてが決まる」わけではありません。第一印象をよく見せられなかったからといって、今後の相手との関係を悲観する必要はありません。なぜなら、人に与える「印象」には、第一印象以外にも、「第二印象」と「第三印象」があるからです。

第一印象
相手を「はじめて」見た瞬間に、相手の見た目などの視覚情報や、声の大きさや明るさといった聴覚情報から受ける印象のこと。

第二印象
少しの時間、接触をしてから抱く相手への印象のこと。就職活動の「面接」などで重要視される項目。会話の内容や受け答えの際のしぐさなど、コミュニケーションをとおして判断される。

「パッと見はいいんだけど、話しはじめたら全然ダメだった。自己中心的な印象を受けた」
「最初は暗い感じの印象を受けたけれど、コミュニケーションをとってみると、冷静で、かつ論理的な受け答えができる。判断能力に優れている印象を受けた」

このように、「最初は○○○○という印象だったけれど、すぐに別の印象を感じた」と第一印象とのギャップによってつくられる印象。

第三印象
長期にわたる行動と結果で判断される印象のこと。第一印象、第二印象が「点の情報」だとしたら、第三印象は「線の情報」。日ごろから正しい行動をとっているか。愚痴をこぼさず、不安や不満を口にせず、淡々と組織に貢献する行動ができるか。お客様の要望にスピーディーに応じることができるか。こうした行動習慣によって形づくられる印象。

お客様の心に残るのは?

言葉が与える印象よりも、「行動習慣」が与える印象のほうが、お客様の心に残ります。そのため、お客様の信頼を得るには、「何をいうか」以上に、「何をするか」「何を続けるか」が大切です。

信頼がないところで、いくら巧みなセールストークを駆使しようとしても、お客様の心を動かすことはできません。では、どうすれば信頼関係が築けるのでしょうか。それは、愚直に、実直に、継続的に、お客様との接点を持ち、役立つ情報を提供し続けることです。

どの印象においても共通していえるのは、「印象=習慣の集積」ということです。普段から身だしなみに気を使わない人が、本番だけきちんとしようとしても、着こなしが様になっていないのがにじみ出てしまいます。

ネクタイがゆるんでいたり、しわくちゃのシャツを着ていたりしたら、「たまたまその日だけだろう」とは誰も思いません。それと同じで、その場だけ「いい人」を演じたり、取り繕おうとしたりしても、相手には見透かされてしまいます。

お客様は、いい習慣を持っている営業に信頼を寄せます。カバンや時計、ボールペンは買えばそろえられますが、セットした髪、きれいな爪、まっすぐなネクタイ、シワのないシャツは、いい習慣がないと準備ができないのです。

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