はじめに
「令和」という新たな時代を迎え、「人生100年時代」や「生涯現役社会」といった言葉を耳にする機会が増えています。時代の節目を機に自身が歩んできた昭和・平成の人生を改めて振り返った人も多かったのではないでしょうか。
昭和・平成という2つの時代を歩んできた40~50代のミドル世代には、配偶者や子どもをもたない人生を歩む人が増えています。これらの人々の将来に向けた備えはどのような実態にあるのでしょうか。
今回は、第一生命経済研究所が行ったアンケート調査から、正規雇用者として働く中高年単身者の「将来への備え」の実態についてご紹介します。
女性がリードする「将来への備え」
一都三県で正規雇用者として働く40~50代の単身世帯男女を対象に行ったこの調査では、3つまでの複数回答で将来への備えについて回答を求めました。
その結果、「特にしていない」と答えた人は男性で約3割、女性では2割弱にとどまりました(図1)。男性の約7割、女性の8割超は将来に向け何らかの備えを行っており、男性に比べ女性の手堅さが浮かび上がる結果となりました。
※なお、この設問は「高齢期への備え」としての「財産形成」についてたずねているため、ここで「財産形成」をあげていないからといって、貯蓄等がないことを意味するわけではないことに留意されたい。
経済面では「財産形成」、経済面以外では「体力の増進や健康の維持」が最多
具体的な備えの内容をみると、男女とも「財産形成(貯蓄、有価証券など)」をあげた人が最も多く、男性で43%、女性で56%を占めます。「経済面の備え」ではこのほか、「民間の医療保険への加入」(男性42%、女性53%)がこれに続いています。
一方、「経済面以外の備え」では、男女とも「体力の増進や健康の維持」(男性29%、女性37%)をあげた人が最も多くなっています。中高年シングルにとって「健康」は、お金以外の備えとして、優先順位の高いテーマになっているようです。
図1 正規雇用で働く中高年シングルが行っている「将来への備え」(性別)<3つまでの複数回答>
出典:第一生命経済研究所「中高年単身者の生活実態に関する調査」
注:調査方法はインターネット調査。調査時期は2018年10月。対象者は調査会社の登録モニターから一都三県の正規雇用者と非正規雇用者各1,000名を性・年齢階級別に均等になるよう抽出。本稿ではこのうち正規雇用者の回答結果について紹介