はじめに

「妻の仕事での活躍ぶりの話題になったら、急に深刻な顔になった義理父が『ムスコくんは大丈夫なのか。ちゃんと仕事しているのか。出世はしているのか』と話題を断ち切るんです」――。夫が妻より稼がないといけない、活躍していないといけない、それが素敵な夫婦の姿なのだ、という強い価値観がハッキリと見える家族の会話の1つです。

最新の国民生活基礎調査では18歳未満の子供を持つ母親の7割が就業していることを、以前の「結婚難民の羅針盤」で紹介しました。とはいうものの、地方から東京に就職してきた女性からは、令和元年の今でも、地元での「妻が働くこと」、もっと言うと「夫よりも妻が社会的に活躍していること」に対してのアンチ意識の根強さを聞かされます。


「結婚後難民」にならないために…

結婚相手を決める際に、妻が働くことへの男性の価値観や、具体的な結婚後の互いのライフデザインをよくよく2人で確認せずに、結婚後になってから妻が「こんなはずではなかった」「こんな人とは思わなかった」「どうして私ばかりがワンオペなの?」「夫の私の仕事への理解がなさすぎる」となってしまうならば、やはり女性サイドの結婚前の彼氏との間の話し合い、確認行動をもっと促さなくてはいけない、と感じます。

中には、夫の妻の仕事継続への非協力を問う(話し合う)べきところもすべて棚上げして、「会社の制度がもっと良くならないと女性は楽にならない!」という論調も見かけます。しかし、このような「結婚後難民」状態も、まずはパートナーに交渉することで、ある程度まで解決できるケースはあります。

何より、こうした「男性と逃げずにしっかり話す(彼が聞いてくれなかった、話してくれなかった、ではなく)」視点と姿勢を女性が身につけることによって、そもそもの夫の選び方、つまり「イイ男」観さえも変わっていくだろうと思います。

そうはいうものの、こういう話し合いに関して、実は男性個人の価値観問題と女性がしっかり向き合いさえすればいいという、単なる「個人の価値観問題」として片付けてしまって良いわけでもなさそうです。同じ日本でも、男性の結婚後の夫婦のあり方に関する価値観に地域差がある、というデータがあるのです。

そのデータからは、都道府県によって男性の価値観の差異がかなり見られます。あなたの運命の相手かもしれない男性と「どこまで話し合ったほうが良さそうか(本当は相手が誰でもしっかり話し合ってほしいところですが)」について、2015年に内閣府が実施した意識調査結果から、見てみたいと思います。

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