キャリア

日本メディアがほとんど報じない「欧州議会選」の重大異変

トランプ来日の裏で起きた一大事

議会の勢力図はどうなった?

欧州議会には8つの会派が存在しており、各国の政党は同議会内の会派と密接につながっています。たとえば、ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)は最大会派の中道右派「欧州人民党(EPP)」に参加しています。

BBCテレビによると、全体751議席のうち、(EPP)の獲得議席が179で前回から42議席減。実質的に連立を組む第2会派の中道左派「社会民主進歩同盟(S&D)」も152議席にとどまって同39減と、EU支持の2大政党が大幅に議席を失いました。

一方、議席を増やしたのが中道リベラル政党の「欧州自由民主同盟」です。獲得したのは38議席増の105議席。フランスの「国民連合」や、イタリアのマッテオ・サルビーニ副首相率いる「同盟」などが属する、反EUの「国家と自由の欧州(ENF)」も現有議席の37から60議席に増えたもようです。

最大会派のEPPと第2会派のS&Dの議席数は合計しても過半数に届かず、今後の議会運営を安定させるには第3勢力との連立を模索する必要があります。7月から始まる本会議で注目されるのが首脳人事。特に、10月で任期満了を迎えるジャン・クロード・ユンケル委員長の後継者選びが、最大の焦点とされています。

選挙後もくすぶる波乱の火種

気になるのは、英国から選出された議員の投票の行方です。同国に配分された議席数は73。2016年の国民投票でEUからの離脱、いわゆる「ブレグジット」を決めましたが、最終期限を当初の3月29日から10月末へ延長。これを受けて選挙を行いました。

英国の選挙で第1党となったのが「ブレグジット党」。その名の通り、ブレグジットを主張するEU懐疑派の政党です。党首はナイジェル・ファラージ氏。国民投票で離脱派をリードした英国独立党(UKIP)の党首だった人物です。

同氏は巧みな演説などが受けて人気を集めていますが、「ポピュリスト」という印象も拭えません。国民投票でのキャンペーンでは「離脱すれば、EUに対する英国からの週3万5,000ポンドの拠出金が不要になるので、これを国営医療サービス(NHS)に充てる」との公約を掲げていましたが、投票後には金額が間違いだったことを認めて事実上撤回。選挙のやり直しを求める声が高まるきっかけになりました。

このため、EU側にはファラージ氏に対する不信感が根強いようです。ただ、欧州議会で新委員長が選出されるのは7月中旬。「ブレグジット」に伴い、短期間で辞任する可能性のある英国から選ばれた議員がキャスティングボートを握るといったシナリオも決して否定はできません。欧州議会の議員からは「ファラージ氏が“誠意を見せて”欧州委員長選の投票を辞退するとは考えにくい」などと皮肉る声も上がっています。

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