はじめに

大切なのは「一人一人の心の平和」

――つい先日、改元という大きな節目がありました。平成を振り返って、「戦争がなかった時代」と評価する人も多いです。

そう思うのは日本のことしか考えていないからですよね。世界中に戦争はいっぱいあるじゃないですか。日本のことだけを考えて「戦争がなかったからいい時代だった」と言い切ることはできない。あまりにも視野が狭いです。

だから、メディアが「平成が終わって令和が始まる」と騒いでいるのを見ると、「これでいいのかな」と思ってしまいます。元号で区切るということ自体、おかしいんですよ。

――日本の視点だけで見ると「第二次世界大戦が最後の大きな戦争」と考えてしまいがちですが、世界に目を向けると…。

そんなことは全くないですから。終わったことは忘れたいというか、美化したいというか、日本人は割とそういう傾向にありますね。

――では、これからの世界の平和について考えたとき、谷川さんが一番大事だと思うものはなんでしょうか?

一人一人の心の平和です。戦争って絶対に無くならないと思うんですよ。経済的な要因など、複雑な事情がありますし、紀元前から人類は戦争をしてきたのだから終わりようがないですよね。

 「世界中の戦争を終わらせるために何かをする」というのは、美辞麗句です。やはり個人にはできないでしょう。個人ができるのは、自分の心の平和を保つこと。生きる態度や行動も含めてね。それだけです。

――「心の平和」を保つために、親が子どもに教えてあげられることはありますか?

難しいと思います。言葉でいろいろと諭そうとしても、結局口先だけになってしまう。子どもでも大人でも、言葉ではなく「きれいだな」「気持ちいいな」と感じる自分の気持ちが一番リアルなんです。

でも、親子の関係は言葉のコミュニケーションだけではないです。子どもは大人の行動を見ています。そのほうが言葉よりもはるかに大きな影響を与えるのではないでしょうか。

「へいわとせんそう」(ブロンズ新社)

へいわとせんそう
「へいわのボク」と「せんそうのボク」では、なにが変わるのだろう。同じ人やもの、場所を見開きごとに比べると違いが見えてくる。いま、子どもにも大人にも伝えたいメッセージ。

<著者>
谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう)
1931 年東京生まれ。詩人。21 歳で第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。以来数々の賞を受賞し、幅広く活躍する日本を代表する詩人。絵本『わたし』(長新太・絵)『あな』(和田誠・絵/共に福音館書店)、『もこもこもこ』(元永定正・絵/文研出版)、翻訳絵本『スイミー』(レオ・レオニ/好学社)など、長年にわたり読み継がれている。
Noritake(のりたけ)
1978 年兵庫県生まれ。イラストレーター。モノクロームのドローイングを中心に、広告、書籍、雑誌、ファッション、プロダクト制作など国内外で活躍。デザイン、ディレクション、作家活動もおこなう。NHK E テレ「デザインあ」のコーナー制作や、集英社文庫の新キャラクター「よまにゃ」を描くなど、活動の幅は広い。

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