はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ

今回の相談者は、30代の共働き夫婦。この先、子供を授かったら、妻は10年間専業主婦になる予定です。それを前提とした場合、将来を考えたときにいくら貯金があれば安心できるのでしょうか。FPの飯田道子氏がお答えします。

現在は自分の収入から月6万円、妻の収入から月12万円ほど貯金しています。しかし、今後子供を授かった場合、妻は10年間ほど仕事をしない予定です。そうなると、月々の支出はどれくらいが適切なのか、また今後の教育費や老後に向けてどれくらいお金を貯めていけばいいのかわからず不安です。アドバイスよろしくお願いいたします。


〈相談者プロフィール〉
・男性、32歳、既婚(妻:30歳、派遣社員)、子供なし
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・毎月の世帯の手取り金額:53万円
(夫:37万円、妻:16万円)
・年間の世帯の手取りボーナス額:なし
・毎月の世帯の支出目安:35万円


【支出の内訳】
・住居費:9万円
・食費:5万円
・水道光熱費:2.5万円
・教育費:なし
・保険料:2万円
・通信費:2万円
・車両費:1.5万円
・お小遣い:6万円
・その他:7万円


【資産状況】
・毎月の貯蓄額:18万円
・現在の貯蓄総額:700万円
・現在の投資総額:なし
・現在の負債総額:3250万円(住宅ローン)


飯田: お子様を授かったのを機に、奥様は仕事を離れることを計画されている相談者様。子育てが落ち着いた10年後に奥様は復帰を予定しているものの、お子様の教育費や将来に備えてどれくらい貯めていくべきか、不安を抱えているようです。

このような悩みは相談者様に限らず、多くの人たちが抱えている悩みのひとつ。いったいどのように準備していくべきなのでしょうか。

子供にかかるお金を知る

まず大切なことは、子育てにはどれくらいのお金が必要になるのか、ということです。

生命保険文化センターによると、公立の幼稚園では年間約23万円、3年間で69万円。私立の幼稚園の場合には年間約48万円、3年間で144万円かかるとされています。

文部科学省が調査した「子供の学習費調査」では、公立の小学校に通う小学生1人あたりにかかる教育費は年間で約32万円、6年間で192万円。公立の中学校に通う中学生1人あたりにかかる教育費は年間約48万円、3年間で144万円。公立の高校に通う高校生1人あたりにかかる教育費は年間約45万円、3年間で135万円。国立大学に通う大学生1人あたりにかかる教育費は、自宅から4年間通学した場合には524万円かかるとされています。

図1

幼稚園から大学まで、すべて国公立に通った場合には1人あたり約1064万円必要になる計算です。

とはいえ、この金額はあくまでも平均値に過ぎません。お稽古事の種類や部活動、進学する学部や学科によっては、受験準備にも高額な費用を要することがあります。子供が2人以上であれば、人数分の教育費が必要になります。あらかじめ教育費を予算立てしておくことは必須と言えるでしょう。

どのような教育を受けさせたいのかをイメージする

進学先によって、子供にかかる費用は変わってきます。だからこそ、できるだけ早く、どのような教育を受けさせたいのかをイメージして、いくらかかるのかを明確に捉えておくことが大切です。

子供が小さいうちは親の意見で進んでいくと思いますが、子供が小学校高学年くらいになると、自分の進路について目標が生じてきます。ある程度の年齢になったら、どのような進学先を望んでいるのか? どのような勉強をしていきたいのか? 親子で話し合っていくことが大切です。

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