子育て

特別養子縁組ではなく、里親を選んだ女性のケース

戸籍にこだわらず、「家庭」を必要とする子どもを育てる:最終回

特別養子縁組では、比較的スムーズに子どもが紹介されるご夫婦がいる一方、実質的な年齢制限などの様々な事情から、いくら待っても子どもが紹介されないケースもあるのが実情です。

そんなときに考えたいのが、「里親」です。子どもを自分たちの戸籍に入れるわけではありませんが、50~60代からでも始めることができ、子育てのやりがいを感じることができます。

最終回は、特別養子縁組ではなく、里親として子育てをする東京都在住の加藤真美さん(仮名、44歳)のケースを紹介します。


乳児院で、抱っこを求めて泣いている子に会って

「お母さ~ん! 今日学校でこんなことがあってね、それでえっと…」。

加藤さんに一生懸命話しかけているのは、小学校1年生のA君です。A君は、学校などで耳から入った知識をすぐ吸収するところがある、知的好奇心が旺盛な男の子。可能性あふれるA君の子育てを楽しむ日々を送る加藤さんですが、「数年前までは、こうして子どもと一緒に暮らす日々が来るなんて思ってもみませんでした」と話します。

加藤さんが、東京都の里親制度に登録したのは、2012年のこと。きっかけは長年、不妊に悩んできたことでした。

「結果のでない不妊治療を続けることは、本当につらいものでした。情緒不安定になって、歩いている妊婦さんを見かけるだけでも、モヤモヤしていました。そんなある日、偶然、近所の乳児院がボランティアを募集していることを知り、応募してみることにしたんです。実の親が育てられない子どもがこんなにもいることを知り、衝撃を受けました」と加藤さん。

乳児院でのボランティア経験は、ただ「子どもが欲しい」と思っていた加藤さんの視野を大きく広げたといいます。加藤さんは、こう告白します。

「乳児院には、抱っこを求めて泣いているのに、職員の手が足りずに、抱っこをしてもらえない子どもがいました。その子は、顔を真っ赤にして何かを訴えかけるように、大人を求めていました。私は、その子の姿をみた瞬間から、涙が止まらなくなりました。『私はこういう子どもを救える人になりたい』という気持ちが、自然と湧いてきたんです」(加藤さん)

同じように不妊治療を経験した人の中には、特別養子縁組を望む人が多くいます。しかし、加藤さんは「困っている子どもをとにかく救いたい」という思いのほうが強くなり、特別養子縁組ではなく、里親になる決心をし、児童相談所へ相談に訪れることにしたといいます。

「特別養子縁組も考えましたが、よく調べて、やっぱり私には里親のほうが合っていると思った」という加藤さん。その後、時間をかけてご主人を説得し、里親登録をすることにしたといいます。

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