はじめに

公表延期で一致CIは不必要な下方修正に

5月27日公表の景気動向指数・3月分改定値で一致CIは、生産指数などが上方修正されたのにもかかわらず、前月差は▲0.9から▲1.1へと下方修正されました。

本来は5月24日に発表される毎月勤労統計の所定外労働時間指数の確報値を使って計算されるところ、速報値を使わざるを得なかったので、同指数の前月差寄与は▲0.49と、大きな下降要因になりました。景気に関して一段と厳しい認識を持った人も多かったはずです。

しかし、所定外労働時間指数は3月分確報値では96.1と、速報値の95.3から大きく上方修正されたのです。この数字で計算すると、一致CIの改定値は▲0.9のままで変わらなかったはずです。

さらに6月7日に4月分景気動向指数速報値が発表された時には、1~3月期の法人企業統計が発表されていて営業利益の数字が3月分まで加わったため、3月分の一致CI・前月差は▲0.4に上方修正されました。3月分の所定外労働時間の前月差寄与度は▲0.30、営業利益の前月差寄与度は+0.41となっています。

一致CI

なお、5月24日に公表を見送った毎月勤労統計の3月分確報は「今後1週間以内に公表する」とされていましたが、発表は5月31日(金)の夕方ぎりぎりでした。

エコノミストはマスメディア各社から、5月31日午前中までに4月分速報値の景気動向指数を含む翌週の主要指標の予測値を求められていました。31日夕方ぎりぎりに所定外労働時間指数の3月分確報値を発表されても、予測をする際に所定外労働時間指数は3月分速報値を使うしかありませんでした。

基調判断が「下げ止まり」になる可能性も

6月24日に発表される景気動向指数・一致CIの4月分改定値・前月差は+1.2程度になり、速報値の+0.8から上方修正されると予測します。改定値では、所定外労働時間指数が新たに加わります。

6月7日に公表された4月分速報値は98.3で、3月分の96.1から大きく上昇しました。景気動向指数・4月分改定値では使用されますが、6月21日に発表される所定外労働時間指数・確報値が、仮に速報値と同じ指数水準だとすれば、所定外労働時間指数の前月差寄与度は+0.45程度になりそうです。

他の一致CI採用系列では、6月13日に発表された商業販売額関連データの確報値は速報値から小売業がわずかに下方修正、卸売業がわずかに上方修正されました。また、生産関連データで確報値段階では鉱工業生産財出荷指数がわずかに上方修正されたものの、生産指数などは速報値と同じでした。

景気の基調判断は改訂値段階でも「悪化」で変わらないでしょう。ただし、4月分改定値・前月差が+1.2になった場合、次回5月分の予測値が公表される段階になると、一致CIの前月差が+0.1とわずかに上昇となるだけで、3ヵ月後方移動平均の2ヵ月累計が振幅目安の+0.90を上回り、基調判断が「下げ止まり」へと上方修正されるという期待が高まることになると思います。

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