はじめに
いま、巷ではタピオカが一大ブームを巻き起こしています。タピオカブームは今回で3度目になります。
ティラミス、クレームブリュレ、カヌレ、ベルギーワッフル、マカロン、パンケーキ……。一大ブームを巻き起こしたスイーツの多くは、ブーム一巡後は定番化し、今では街中のスイーツショップやコンビニなどで、普通に手に入る存在になっています。
しかし、中には定番化せず、露出が大幅に減ってしまった感のあるスイーツもあります。 2013年から2015年頃にかけてブームを巻き起こした高級ポップコーンは、その代表格ではないでしょうか。そんな高級ポップコーンが、実は密かに人気を取り戻しつつあるようなのです。
ポップコーンの概念を覆した
2013年1月にヒルバレーが中目黒に、翌2月にギャレットが原宿にそれぞれ1号店を開店させると、たちまちブームが巻き起こった高級ポップコーン。このブームは、それまで日本人が抱いていたポップコーンのイメージを大きく覆しました。
映画館で売っている、大きな紙のパッケージに入った塩味のポップコーンとは、まず形状がまったく異なります。普通のポップコーンは蝶が羽を広げたような形をしていますので「バタフライ型」と呼ばれていますが、高級ポップコーンは大きくて丸いマッシュルームのような形をしていますので「マッシュルーム型」と呼ばれています。
一般的なバタフライ型のポップコーン ※マッシュルーム型は画像ギャラリー参照
作り方も違います。普通のポップコーンは、熱を加えると破裂する「爆裂種」というトウモロコシを材料に、油を使って破裂させて作ります。一方、高級ポップコーンは油を使わず、専用の種類のトウモロコシを専用の機械で熱風を当てて膨らませます。これにキャラメルやチョコレート、フルーツなどの甘いソースやドライフルーツを絡めるのです。
ちなみに、ヒルバレーはマッシュルーム型のみですが、ギャレットはマッシュルーム型とバタフライ型を黄金比率で混ぜ合わせています。ヒルバレーは1粒ずつバラバラになるように仕上げているのに対し、ギャレットは数粒単位で固まるよう、手作業で仕上げています。
2年足らずでブーム終焉
ギャレットはシカゴに本社があって、今年9月に創業70周年を迎える、グローバル展開しているブランドです。一方のヒルバレーは、実は国産ブランド。米国で高級ポップコーンに出会った創業者が日本ポップコーンという会社を設立し、独自のブランドを立ち上げました。
先行したこの2ブランドが業界を牽引したことは事実ですが、海外から続々と多くのブランドが上陸し、店舗を構えたため、露出が増加。映画館で売っている定番のポップコーンの3分の1~4分の1くらいの量で1,000円近くするにもかかわらず、店舗には大行列ができるほどの大人気。マスコミもこぞって取り上げました。
しかし、そのブームも2015年頃を最後にピークアウトします。各ブランドも相次いで店舗数を減らしたため、露出も後退していきました。先行したヒルバレーも例外ではなく、ピーク時に15程度あった常設店舗も相次いで閉店を余儀なくされました。
業績も悪化したため、2015年10月、和製ファンドの草分け・アドバンテッジパートナーズが、創業者が保有していた同社の全株式を買収し、再建に着手。店舗を縮小する一方、製造工程を見直し、需要予測に基づく生産管理の徹底などで、生産性を大幅に改善しました。