はじめに
5~10%の燃費不正が明らかになった
三菱自動車が製造する軽自動車62万台の燃費について意図的に実際よりもよく見せるという不正行為を行っていたことがわかりました。不正が発覚したのは4車種で、三菱自工が販売する「eKワゴン」「eKスペース」と日産自動車がOEM販売している「デイズ」「デイズルークス」です。
今回の不正、実は三菱自動車の内部からではなく、供給先の日産自動車が気づいたものです。供給された車を日産が独自に調べたところ、どうしてもカタログにあるような数値にならないため、三菱に問い合わせ、その結果、内部調査でようやく不正が発覚したというのが経緯です。
三菱自動車の軽自動車はスズキ、ダイハツなど競合メーカーと比較した燃費性能で苦戦をしていて、それが原因で現場が燃費データを改ざんしたという報道も耳にしました。実際そのようなことがあったのかもしれませんが、それでも不正は不正です。
不正企業に対する消費者のペナルティは明確
このニュースを受けて早速行われていた大規模なネット調査で、「このような不正があった場合、あなたはどう対応しますか?」という質問に対して、大半の消費者が回答したのが「その会社からは今後は製品を買わない」という答でした。
無理もないでしょう。ただでさえ不正な商品は購入したくないと消費者は感じているのですが、三菱自動車グループの場合は、不正を隠したのがこれで三度目なのですから。
三菱自動車グループでは2000年と2004年にリコール隠しが発覚して社会問題になりました。特に子会社の三菱ふそうが起こした2004年の発覚では、2002年に横浜で起きた大型トラックのボルトに欠陥が原因で起きた、ベビーカーを押していた母親を大型タイヤが直撃して死亡させた事故を引き起こしたこともあり、大きな社会的な問題となりました。
この事件で三菱のブランドは大きな打撃を受けました。新社長に経営陣が世代交代して、今後このような不祥事を起こさないとして経営改革を進める。その言葉を市場もある程度は信じて今日まで見守ってきたわけです。
市場からの退出は避けられない。株式市場からも国内市場からも
不正を発表した翌日、4月21日の東京証券取引所では三菱自動車株はストップ安で、しかも3491万株の売り注文を残して上場来最安値を更新しました。
今回の不正で三菱自動車の市場からの退出は避けられないと思います。それは株式市場という意味でももちろんですが、これで三菱自動車を購入する消費者は、一部の人気車種を除いていなくなるでしょう。そうなれば三菱自動車自体が自動車市場から退出することになります。
非常に厳しい言い方ですが、「二度、不正に手を染めた企業が、更生するかどうかを消費者が見守っていた」中で起きた、三度目の犯罪行為です。歴史ある自動車会社の終わりが始まった、残念な出来事だったとしか言いようがない事件だと思います。