はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、国際結婚のため近い将来、夫の国へ移住するという35歳の女性。資産のほとんどを普通貯金に預けていることをもったいないと感じているといいます。今後を見据えて外貨預金を始めた方がいいのでしょうか。FPの飯田道子氏がお答えします。
現在は共働きで安定した生活、また貯蓄ができておりますが、資産のほとんどは金利がほぼ付かない普通貯金であることが気になっております。国際結婚のため、将来的に夫の国への移住を視野に入れており、4~5年後を考えて計画中です。夫は専門職なので移住後もすぐに仕事が見つかると思いますが、私の分の収入はしばらく見込めないと思うので、収入が下がっても大丈夫なように、今のうちに貯蓄に励み、生活水準を上げすぎないように気をつけています。
投資や運用への知識が乏しいため、ほぼ全資産が貯金になってしまっていてもったいないのですが、今後移住する際に外貨に変えることや、移住先で家を購入すること考えると、今はどのようにしたらいいのかわかりません。今から日本円ではなく、外貨で貯金しておいた方がいいのでしょうか。それとも移住までの期間もお金を眠らせずに積極的に運用すべきでしょうか。子供は今はいませんが、できれば2、3人授れたら嬉しいです。夫の国は教育への支援が手厚いので、子育てに伴う教育費の心配はあまりしておりません。よろしくお願いします。
〈相談者プロフィール〉
・女性、35歳、既婚(夫:37歳)、子供なし
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(賃貸)
・居住地:東京都
・毎月の世帯の手取り金額:90万円
・年間の手取りボーナス額:220万円
・毎月の世帯の支出目安:約40万円
【資産状況】
・毎月の貯蓄額:50万円
・現在の貯蓄総額:2800万円
・現在の投資総額:200万円
・現在の負債総額:なし
【支出の内訳】
・住居費:13万円
・食費:5万円
・水道光熱費:2万円
・教育費:なし
・保険料:なし
・通信費:1万円
・車両費:2万円
・お小遣い:10万円
・その他:8万円
飯田: ほぼ金利のつかない普通貯金で運用している相談者様。国際結婚で、将来的にご主人の国への移住を視野に入れているため、移住後は相談者である奥様の収入はしばらく見込めないと考えていらっしゃるようです。移住する際に外貨に変えることや、移住先で家を購入すること考え不安を抱いている様子。
今できることは何があるのか? どのように準備するべきかを考えていきましょう。
やることを整理して、まずは日本でできることから
移住後の収入が減ってしまうことを想定して生活水準を上げないよう努力されているのは、大変立派だと思います。ぜひ、このまま続けて欲しいと思います。
それではまず、やるべきことから整理してみましょう。
現在は日本で収入を得て日本で生活されていますが、あらかじめ移住先の国について調べておくことをお勧めします。もちろん「夫の国」ですので、情報を入手せずとも理解されていることは多いかと思いますが、ポイントとなるのは社会保障関連やお金まわりについてです。
日本の年金制度は海外移住するとどうなるのか?
日本では夫婦で働いている、いわゆる共稼ぎですので、日本の年金制度に加入されていることでしょう。移住先である夫の国がどちらなのかわかりませんが、国によっては日本と同じように年金制度を導入している国もあります。その場合、日本の年金を引き継ぐことができるのか、まったく最初から積立ていくのかによって違いが出てきます。まずは年金制度についてどうなっているのかを確認しておきましょう。
日本の年金は、日本人であれば一定の条件を満たしていれば海外で受け取ることが可能です。
一方、外国人の場合には、25年以上支払わないと年金として受け取ることのできる「受給権」が発生しません。年金が受け取れない外国人の場合、わずかですが脱退一時金を受け取ることが可能になっています。また奥様が帰化した場合にも、外国人と同じ扱いになります。移住先と日本の制度をしっかりと照らし合わせて、どのようにすれば良いのかを調べておくと安心です。