はじめに
とある結婚相談所の方とお話をしているときにこんな話題が出てきました。
「マッチングシステムでの検索だと、かなり多くの方が“結婚歴のある人”を除いて検索しているのです。でも、これがイベントでの出会いとなると、例えば同じ35歳の参加者だとすると、バツありの方のほうが初婚を目指す方よりも多くカップリングするんですよ……」
データ分析を行なっている立場からは、このお話は決して意外ではありません。婚姻分析からは年々、「再婚者含み(再婚者同士+初婚者と再婚者)の結婚」の増加傾向が見えてきているからです。
再婚者が含まれる結婚は27%へ
下のグラフは2017年までの婚姻届件数の推移を表したものです。初婚同士の結婚は団塊世代の男女が適齢期を迎えた1970年代前半に90万件を超えるピークを迎えたあと、ほぼ右肩下がりで減少を続けています。一方で、再婚者同士や再婚者と初婚者の結婚を加えた再婚者含みの結婚は徐々に増加傾向を続け、2000年以降16万件を超える状態が続いています。
特に少子化で若い世代の人口が減少し、全体の結婚件数が減ってゆく中で、再婚者含みの結婚が一定の件数をキープしているということは、全結婚に占める割合が大きくなっている、ということになります。実際、2017年の再婚者含みの結婚は全結婚の26.6%(下の図表参照)に達しました。
再婚者含みの結婚は、最も結婚件数が多かった70年代前半では1割程度だったのですが、いまや4組に1組以上へと割合を増やしました。つまり、既に「バツありの相手なんて無理」どころか、「よくあるケース」の時代となってきていることがわかります 。
「初婚と再婚」カップルが64%
再婚者の結婚というと「それは再婚者同士ならあるでしょうけれど……初婚者にいきなり再婚者というのはちょっと」という反応もあるかもしれません。そこで、実態としてどのくらいの割合で初婚者が再婚者とゴールインしているのかを下の図表でみてみます。
2007年~2017年の状況をみてみると、それぞれのタイプの割合に大きな差は見られません。再婚者同士の結婚と夫だけが再婚者という結婚はほぼ同じ割合となっています。妻だけが再婚者という結婚については10ポイント程度他のパターンより少なくなってはいるものの、特段少ない、ということもありません。
再婚者を含む結婚のうち、夫婦のどちらかだけが再婚者という再婚が64%で安定推移しているため、「再婚といえば再婚者同士ならわかるけれど」というのは大きな勘違い、または偏見やかつての時代観からくる思い込みであることがわかります。
むしろ統計的には「再婚者同士の結婚よりも、どちらかが初婚である結婚の方が一般的である」ということになるからです。データは省きますが、1952年からの長期の推移では、男性だけが再婚者、という割合が減少し(70年代前半は再婚含みの結婚のうちの4割以上)、再婚者同士や妻だけが再婚者という再婚含みの結婚が増加しています。