はじめに

スニーカーは「投資」になる?

「Stock」という言葉が名前に入っているとおり、「Stock X」が標榜しているのは「スニーカーの株式化」です。実際に「Stock X」などを通してスニーカーの売買をして利益を得る「スニーカー投資」という言葉も広がりを見せています。しかし実際のところ、スニーカーは有効な「投資先」になりうるのでしょうか。

KING-MASAさんも「スニーカーの価格は誰が履くかによって大きく変わります。もちろん『このスニーカー絶対来るな』とある程度読める部分もありますけど、読めないもののほうが多いと思います。カニエ・ウェストやトラヴィス・スコットみたいなセレブが履いただけで急に値段がはね上がりますから」と語るとおり、ひとりのセレブがあるスニーカーを履いた写真をInstagramにアップすれば、その瞬間から価格が高騰するというのが現在のスニーカーシーン。

king masa
取材に答えるKING-MASAさん。冒頭のスニーカーも本人私物で、モデルはNike blazer high x sacai

その意味では「投資先としてのスニーカー」は限りなく不安定なものだといえます。言葉のあやとはいえ、株と同列に扱うのは無理がありそうにも思えます。そもそも、株とは決定的に違うのが、スニーカーは基本的に「趣味のアイテム」であるということ。相場は流行に左右されますし、上記のような外的要因も大きく影響します。

MASAさんも「人から『スニーカーで投資してみたい』と言われたら『全然いいんじゃない?』と言いますけど、やっぱり簡単じゃないし、経験値が大事ですよね」と話します。スニーカーというカルチャーに対する愛着と造詣も、「スニーカー投資」で成功するための条件なのかもしれません。

日本でも今年6月、「Stock X」に近いサービスを提供する「モノカブ」(株式会社ブライノ)がスタートしました。今後日本でも「スニーカー投資」が盛り上がる機運はあるのでしょうか?「日本ではタマ数(市場に出回っているスニーカーの種類や数)が少ないので、アメリカのようにはならないのではないかと思っています」(KING-MASA)。現時点では、「スニーカー投資」はあくまでアメリカを中心とした海外のマーケットが主戦場となりそうですが、興味をもった方は、ぜひ一度「Stock X」や「GOAT」を覗いてみてはどうでしょうか。

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