はじめに
リセールがどんどんオープンに
「転売」というと、特に日本ではいまだ嫌悪感を抱く人も多そうですが、実は海外ではまったく様相が違います。「海外に行くと、お店で買った人が外に出てすぐにリセールをしていたりするんです。お店の前で買ったばかりのアイテムを並べたりして」(KING-MASAさん)。
そうしたリセールに対するオープンな国民性が、現在のリセールマーケットの隆盛を支えているという側面もあります。しかしオンラインで気軽に転売できるサービスが増えてきたことで、今後日本でもどんどん市場が広がっていくかもしれません。
ただ、「顔を出さないで転売する」というシステムは、購入者からすると一層不安に感じる部分でもあります。どんな素性の人がどんなルートで仕入れた商品なのかがわからないからです。実際に偽物が届いたり、詐欺に遭ってしまったりというケースも容易に考えられます。その点についてある利用者は、リセールの場を提供しているプラットフォーマーがもっと透明性を打ち出すべきだと言います。
「どこかから画像だけ引っ張ってきて偽物を売っている人もたくさんいます。それは顔が見えないからみんな悪さをするんです。たとえば、商品の横に免許証を並べて写真を撮って出品していれば、悪さなんかできない。転売の場を提供しているところはもっと対策をすべきだと思います」(ある利用者)
話題の「Stock X」とは?
そうしたところに登場したのが、商品の鑑定を自ら行い、価格の適正化をはかることで転売のシステム化を推し進める「GOAT」や「Stock X」のようなサービスです。とくに2016年にジョシュ・ルーバーによって立ち上げられた「Stock X」は、株式市場の仕組みを取り入れ、ユーザーに転売価格の相場や過去の取引実績などの情報を提供しているという点で、その他のリセールプラットフォームとは一線を画しています。
「Stock X」のサイトより
「Stock X」はスタート以来急速にサービス規模を拡大。年間で10億ドル(約1,100億円)もの取引が行われ、「Stock X」での取引額が、スニーカーリセール市場におけるひとつの相場を生み出しているともいわれます。一方で出品されているスニーカーのなかに偽物が多いなどのネガティブな話も多数出回っていて、賛否両論が起きているのも事実。しかしそれらの批判的な見方に対して、KING-MASAさんは「デマも多いので」と断じます。
「(スニーカーの真贋)鑑定が甘いという話もありますし、僕も実際に買ってみたところシッピングが遅いなとは感じました。ですがネットの情報のとおり本当にクオリティが低かったらあそこまでビジネスとして大きくならないんじゃないかとも思います。少なくとも『e-bay』などで個人間で買うよりは信頼度が高いと思います。僕は知っている人が運営サイドにいるというのもあって『GOAT』を使うことのほうが多いですが」。