はじめに
私は2年前に立ち上げた会社を共同経営しながら、幼い2人の子どもを育てています。夫は朝から午後10時頃まで仕事で不在。平日はほとんど家事育児に参加することができません。
それでも、帰宅後には台所と部屋の片付け、長男の保育園との連絡帳書きをこなします。休日には子どもたちを公園に連れていったり、習い事に付き添ったり、楽しみながら育児をしています。
そんな夫も、結婚前や結婚直後は「僕も家事を手伝うから、あなたも仕事を頑張ってね」というスタンスでした。「手伝う」という時代錯誤な言葉に怒りを覚えた私は、夫を変えるため、密かに3つのことを心がけたのです。
ルール1:タスクを完全に任せる
結婚当初から、食事後の片付けは夫が進んで担当していました。でも、キッチンの床に水滴が飛んでいたり、洗った調理器具を拭かずに置いておくだけだったりと、不満がありました。
でも、私があれこれ文句を言って、まったくやってくれなくなるのも困ります。ですから、夫に任せたタスクについて、とやかく言うことは控えてきました。
こんなこともありました。長男が1歳半前後の時の話です。平日の夜に、新卒で就職した会社の同僚たちと集まる会がありました。「ひさしぶりだから出席したい」と思った私は、保育園のお迎えと夜の寝かしつけまでを夫に丁寧に説明し、時間を確保しました。
そして、前日の夜。「明日よろしくね」と確認すると、「なんだっけ?」と言うではないですか。私の予定をすっかり忘れていた様子で、自分も飲み会を入れてしまったと言い出しました。
それを聞いた私は、怒り心頭でした。「もともと明日はお願いしたのだから、私はやらない。ベビーシッターさんを手配するとか、今からできることもある。自分で何とかするように」と、夫を突き放しました。
仕事でも、いつも誰かがやってくれると思うと本気で取り組みません。家事育児についても責任をすべて任せることで、主体性が生まれると考えます。
ルール2:相手に頼り、感謝の言葉を伝える
長男が生まれた当初から、私は「男の子のことはよくわからない。だから主導権を取ってほしい」と夫に頼んできました。
特に2人目の妊娠と、出血による入院で出かけることが難しくなった時期、長男はちょうど2歳を過ぎ、動きたい盛りでした。
こういう時は「長男をストライダー(ペダル無し2輪車)の練習に連れ出してほしい」「あなたに頼りたい」と、できるだけ具体的にお願いしました。夫も、エネルギー溢れる長男を疲れさせるために、いろいろな方法を少しずつ試すようになりました。そのたびに「ありがとう!」「パパと一緒だと楽しそうだね」と、大げさなくらい感謝の言葉を伝えました。
ルール3:小さなことも相談する
子育てを「母親が主に担当し、父親が手伝うもの」にしたくありません。夫婦共通の関心事にするための方法を模索しました。
たとえば、保育園入園当初から、あえて朝の送りを夫に担当してもらいました。どんな先生やお友達がいるのか、保育園の状況を知ってほしかったからです。
そして私も「担任の先生がこんなことを言っていた」「今日、保育園でこんなことがあったけど、どう思う?」と常に相談し、情報を共有するようにしました。
当初、長男の保育園の連絡帳を書くのは私で、夫は先生のコメントを読むだけでした。私は夫にも連絡帳を書いてもらおうと思い立ち、「先生に相談したいことも書けるよ」「何か先生に聞いておきたい?」と、少しずつ参加してもらうようにしました。
夫を連絡帳係にすると、日々の子どもの様子を伝え、小さなことでも相談し、それを夫が咀嚼(そしゃく)して連絡帳に書き込む、という流れができました。これは、子育てへの当事者意識を高めるのはもちろん、子どもの成長を分かち合うことにもつながっていると思います。