はじめに

「Z4」との違いはどこ?


12スピーカー・最大出力425Wという贅沢な音響


リアハッチを挙げれば290リットル(VDA法)の容量

まずは3種類あるエンジン構成を少し整理しておきましょう。
もっとも強力なエンジンは3リットル 6気筒ターボの340馬力で、最上級グレード「RZ」に搭載されます。その次は中間グレードの「SZ-R」というモデルに与えられている2リットル4気筒ターボエンジンは258馬力を発生します。そしてベースモデル「SZ」に与えられるのは2リットル4気筒ターボでパワーは197馬力と一番大人しい仕様となります。ちなみにエンジン構成は「Z4」の本国仕様と同じですが、日本に導入される「Z4」のラインナップには中間の258馬力モデルは現状ありません。


タイヤはMICHELIN PILOT SUPER SPORTを採用

今回は最強モデルの340馬力のRZ、価格は690万円です。インテリアを見回しますが、もちろん「Z4」とは基本のレイアウトは似ているのですが違ったデザインです。「GRスープラ」は水平ラインを基調に上下に分割されたデザインで、「Z4」よりスッキリとした印象です。早速エンジンをスタートさせると、うるさくはないのですがブォ~ンというエンジン音とともに回り出します。スポーツカー好きはここで“やる気スイッチ”が入ったりするものです。ブレーキを踏みながらATのシフトレバーを操作し、Dポジションに入れます。それは「Z4」と同じ操作行程ですが、コンソールにある他のスイッチなどの操作類や、なんとウインカーレバーですらステアリングコラムの左側、ワイパーレバーが右側に装備されていますから、デザインの違う「Z4」に乗っている感覚といったところです。

水平基調のデザイン
エアコンの吹き出し口を装備して水平基調のデザイン

ところがアクセル踏み込んで走り出してみると、“え、なんだ、この乗り心地の良さとスムーズさ”はというのが第一印象です。国産スポーツにありがちな、足回りガチガチ、アクセル踏んだらいきなりトルクが立ち上がり、ドッカ~ンという加速感を本当は覚悟していたのですが、完全なる肩すかしを食らいました。

もちろん「Z4」との走りの味の違いは明確になります。その加速感、ブレーキのジンワリと、しかし確実な効き味、そして何ともしなやかなコーナリングは何とも紳士的で大人の味わいなのです。おまけに気が付くと相当な速さに達しているのですから、油断するとライセンスに傷が付きますので、ご用心です。

さらに右に左にとくねくねするワインディングに入ると、このモデルの売りでもある電子制御の足回りがいい味を出してくれます。ステアリングを切り始めたコーナリングの初期は、どこか人工的で電気的な感じで、クイッと曲がり始めます。ところが、その先の味付けはマイルドで自然な感じのままノーズの向きが変わっていって、フラットな姿勢を保ったまま、安定してコーナーを駆け抜けていくのです。エンジンのパワーと足回りとのバランスが実に美味く仕上げられているのですが、このトヨタ流の和風味付けは決してイヤではありません。

さらに嬉しいのは、ごくごく普通の市街地や高速でゆったりした走行でも、ガッチリとした剛性感の高いボディとサスペンションのセッティングによって、乗り心地がとても良好な点です。私の持論ですが“優れたスポーツカーほど乗り心地がいい”という原則にピタリと符合するスポーツカーなのです。

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