はじめに
スポーツカー好きが納得する出来
両サイドが高めで体をすっぽりと包む感じのシート
「GRスープラ」の最強モデルRZ、久しぶりにスポーツカー好きに刺さっていることが十分に納得できる走りでした。
さらにスポーツカーらしい演出を感じた部分がありました。たとえば、運転しているときなのですが、ドライバーの視線の先に、フロントフェンダーの膨らみがはっきりと見えます。そしてバックミラーにもリアフェンダーのボリューム感のあるラインがはっきりと見えるのです。これはデザイン上の演出というよりはスポーツカーのボディ感覚を、まるで手の内にあるかのように把握するためにはとても役に立つのです。トヨタもなかなかやるじゃないか、という印象ですね。
フロントフェンダーやリアフェンダーの膨らみを確認できることで車両感覚が掴みやすい
試乗を終えて、「GRスープラ」を試す前にあった疑問が消えました。そうです「Z4」と、どちらがお得か? いや、どちらが魅力的か? という疑問でしたが、はっきり言ってその比較はあまり意味が無いように思えてきました。
かたやBMWというプレミアムブランドのロードスターであり、走りはBMWらしく切れ味のいい、上質なしつらえでした。一方の「GRスープラ」はトヨタを代表するスポーツクーペであり、「Z4」とは違うポジションにあり、スポーツカーとしてより純粋に走りを楽しむならこちらでもいいので、最初から同じまな板の上には上がらない気がしました。
さらにスタイルです。好き嫌いは別として「GRスープラ」のスタイルは、いかにも日本的で一見無骨と言うかワイルドです。一方の「Z4」はBMWの硬質でいかにも優等生的なデザインであり、まったく違った存在感を持っていて、好みが端っから分かれるのです。車の価値観はとても多様化しています。多人数で沢山の荷物も積んで走ることより、“移動することをスポーティに気持ちよく楽しむ”なら、ちょっとお薦めの選択肢だと思います。