はじめに
不動産情報サイト「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーが駐車場のシェアリングサービスを始めると発表しました。
駐車場のシェア事業には、すでに三井不動産や楽天も参入。大手各社が相次いでこのビジネスに着手しているのにはどんな理由があるのでしょうか? シェアリングエコノミーのビジネスモデルについて解説しながら、この競争の背景を探っていきましょう。
当たり前となった配車サービス
私は今、出張先のサンフランシスコでこの原稿を書いています。現地での移動には、もっぱらスマホを使った配車サービスを使います。
海外の事情を知っていれば、「ウーバー(Uber)かな」と思われる方も多いかもしれませんが、実はちょっと違います。後述する理由から私は、ウーバーの競合であるリフト(Lyft)を多く使っています。
さて、ウーバーやリフトはタクシーに代わる配車サービスです。例えば、ホテルから市内へ移動する際には、スマホを使って車を検索します。すると、その間の移動を「いくらで請け負ってくれるのか?」「ホテルまで何分で来てくれるのか」という情報が書かれたリストがずらーっと画面に並びます。
そのなかから、安くて待ち時間が少ない車を選んでスマホをタップすると、車はほぼ時間通りに私を迎えにやってきます。
これは、日本でいう「白タク」です。自家用車でお小遣い稼ぎをしている人から、ウーバーやリフトを使ってプロの運転手として家計を支えている人まで、さまざまな立場の人がこのサービスに参加しています。
シェアリングエコノミーが生まれた背景
このような配車サービスは「シェアリングエコノミー」と呼ばれています。
自家用車を使っていない時間に誰かとシェアする。そして、自分が暇な時間を運転手としてシェアする。
この場合、プロのタクシーと比べて有利な点があります。それは稼ぎが出れば、限界利益になるということです。もともと遊んでいた資産と使い道がなかった時間を提供しているので、プロのタクシー運転手ほど稼がなくても問題ないと考える人が出てくるのです。
例えば、アメリカでは頻繁に失業と転職が発生します。会社から突然解雇を言い渡されて、これから就職活動を始めるのだけれども、おそらく次の仕事が見つかるのは4~5か月先、という人は少なくありません。
そういった場合、家にいて暇な時間を過ごすよりも、転職活動の合間の空き時間はウーバーで稼げばいい。ドライバーとして登録するのは簡単です。値段もウーバーが適正な価格を決めてくれますし、道順もスマホ上でカーナビのように指示してくれますから、素人の運転手でも困ることはありません。
こうしてアメリカではたくさんの運転手が登場して、タクシーよりも便利なサービスが始まったのです。