はじめに

日本株市場はどう動く?

では、日本の株式市場でも今後、配当利回りの高い銘柄を買う流れが強まる可能性はあるのでしょうか。

「今のところは高配当利回り株に対する買い意欲は高まっていない」――。ある国内証券のストラテジストはそう指摘します。

「東証配当フォーカス100」と呼ばれる指数をベンチマークにした株価指数連動型上場投資信託(ETF)の「上場インデックスファンド日本株高配当」の値動きがその証左です。

ETF

たばこのJTは代表的な高利回り銘柄の1つ。予想配当利回りは8月23日の時点で6%を超えますが、株価の動きは軟調です。

実質利回りの高い銘柄が好調だが…

株式投資の物差しの1つに「実質利回り」と呼ばれるものがあります。株主優待を金額換算した「優待利回り」に予想配当利回りを加えて計算します。

「ルタオ」などの菓子店でおなじみの寿スピリッツ、婦人衣料の店を展開するハニーズホールディングス、東京ディズニーリゾート運営のオリエンタルランド、牛丼の吉野家ホールディングス……。これらの株価が堅調な銘柄に共通するのは、株主優待を実施していることです。

となると、「実質利回りの高さに注目した買い物が入って株価を押し上げている」と考えがちですが、現実には「足元の良好な業績が手掛かりになっている面が強い」(前出のストラテジスト)といいます。

株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)などから判断して割安な「バリュー株」よりもむしろ、利益成長を伴う「グロース株」に人気の集まる株式相場。業績面で安心感のある銘柄に物色の矛先が向けられているのも、不透明感の強さの表れといえるのかもしれません。

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