はじめに
アパレルメーカーの三陽商会は9月6日、同社の代表的なブランドが入る東京・銀座の旗艦店を全面リニューアルし、「ギンザ・タイムレス・エイト」を開業しました。
かつて「バーバリー」も入っていた店舗には、同社が新たな事業の柱に据える、初のオーダースーツブランド「ストーリー アンド ザ スタディー」の1号店がオープン。競争が激しくなるオーダースーツ市場で、どう特徴を出すのでしょうか。内覧会で取材しました。
「裏千家」直伝のおもてなし
銀座8丁目にできた「ギンザ・タイムレス・エイト」は、地下1階から地上9階建てで、売り場面積は約2990平方メートル。各フロアには「ポール・スチュアート」や「サンヨーコート」など、三陽商会の主力ブランドが入ります。
岩田功社長が「銀座を訪れる、外国人観光客に日本のおもてなしを伝えたい」と意気込むだけあって、各フロアに工夫を凝らしています。
たとえば、最上階の9階にはドリンクなどを楽しめる、開放的なラウンジを設けました。ライブなどのイベントでも活用する予定です。
最上階にはドリンクを楽しめるラウンジを設けた
また、オープン前には接客作法に磨きをかけるため、スタッフ全員がお茶会に参加し、裏千家の茶道の教授から和のおもてなしの研修を受けたといいます。
アパレルらしからぬ雰囲気
ギンザ・タイムレス・エイトの目玉の1つが、6階の三陽商会初のオーダースーツブランド、ストーリー アンド ザ スタディー。ホテルのラウンジを意識したというフロアの入り口には、テーブルにタブレット端末4台が等間隔に置かれ、アパレルショップらしからぬ雰囲気です。
フロア入り口には4台のタブレットを置き、アパレルショップらしくない雰囲気
担当者は「まずはタブレットを触って、スーツや生地の種類を見てもらうことで、硬いイメージがあるオーダーメードスーツの敷居を低くしたかった」と、狙いを説明します。
フロアの両サイドには、メンズとレディースのスーツが並びます。落ち着いた照明の下、ゆったりとした空間にソファが置かれ、来店した人がリラックスして、スーツを選べるようにしています。大きな三面鏡をしつらえたフィッティングルームは広々として、家族と一緒に入っても狭さを感じません。
実際に行われたデモンストレーションでは、フィッターが体形を採寸した後に、タブレット端末を使い、全身を撮影。3D解析で、なで肩やいかり肩といった肩の傾斜や姿勢の特徴を出し、フィッティングで修正を加えます。ジャケットとパンツ合わせて最大69ヵ所を直すことができるといいます。