はじめに
値段はポール・スチュアートの4分の1
スーツのタイプは、ブリティッシュやイタリアンモダンなど4つのスタイルから選びます。生地は50種類以上をそろえます。また、レディースはワンピースやタイトスカート、パンツなど6種類のボトムスから選べます。体形の悩みが下半身に集中する女性の声に応えました。
内覧会ではパンツェッタ・ジローラモさん(左)と岩田功社長もオーダーメードスーツを着て、商品をアピール
価格は4万9,000円(税別)からで、最短2週間ででき上がります。ちなみに、同じ旗艦店に入るポール・スチュアートのオーダースーツは20万円前後からなので、4分の1の値段です。
内覧会では、イタリア出身のタレント、パンツェッタ・ジローラモさんもストーリー アンド ザ スタディーのストライプのスーツを着て登場しました。「日本で作るスーツは肩回りが固いものが多いけれど、このスーツは柔らかくて着やすい」と仕立ての良さをアピールしました。
ストーリー アンド ザ スタディーのスーツは、福島県にある自社のテーラード専門工場で生産します。1着のスーツを作る工程に関わる職人は約70人という、きめ細やかな縫製を売りにします。この職人の技術に、肩の傾斜や姿勢を分析できるデジタル技術を合わせています。
すでにデジタル技術は“標準装備”
職場の服装がカジュアルになり、スーツ離れが進む中にあって、自分好みの生地を選んで、体形に合うスーツを作れるオーダーメードスーツは堅調な市場です。各社の競争が激しくなるマーケットに、後発で参入した三陽商会は「国内縫製のクラフトマンシップとデジタル技術の融合」で他社と違いを打ち出そうとしているのです。
個人の体形に合わせた、フィッティングを強みにする
しかし、三陽商会の前には“強敵”が立ちはだかります。
たとえば、アパレル大手のオンワードホールディングスの子会社が運営する、オーダーメードスーツ「カシヤマ ザ・スマートテーラー」の納期は最短1週間。仕上がりまでの早さと、3万円からという価格設定が受け、国内外に店舗を広げています。今年4月には中国に専用の第2工場を立ち上げ、勢いに乗ります。
紳士服大手のAOKIホールディングスも、銀座にオーダーメードスーツの新業態店を出し、若者の取り込みに成功しています。また、アパレル業界では、デジタルツールを使った体形解析を取り入れる企業が増えてきていて、それほど珍しいことではなくなりつつあります。
2018年12月期は最終損失が8億1,900万円と3期連続の赤字だった三陽商会。オーダーメードスーツを新規事業の柱の1つに据え、黒字化を目指します。2023年までにストーリー アンド ザ スタディーを10店舗に増やし、売上高25億円を計画。新規事業の浮沈は、この銀座店にかかる部分が大きくなりそうです。