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株式市場の順風はいつまで続く?カギを握る“2つの論点”

日経平均は2万2000円台を回復

9月19日の日経平均株価は前日比83円高の2万2,044円と反発し、堅調に推移しています。米中の貿易問題をめぐる対立はいったん緩和しており、中国は米国産大豆の購入を再開。米国は10月1日(中国国慶節)に予定していた対中追加関税を15日に延期しています。

ただし、こういった動きが長続きするかは予断を許しません。これまで米国は、貿易協議でさまざまな合意の動きを見せては、それにとらわれない行動を繰り返してきました。

2018年5月には、米国のスティーブン・ムニューシン財務長官と中国の劉鶴副首相は相互に追加関税をかけないことで合意しましたが、そのわずか11日後にドナルド・トランプ大統領は追加関税を発表しました。

欧州に対しても、トランプ大統領はジャン=クロード・ユンケル欧州委員長と2018年7月に自動車関税をかけないことで合意しましたが、その後もたびたび自動車関税を交渉材料として用いています。

トランプ大統領は「中国と暫定合意を目指す」と述べていますが、そもそも合意してもそれが守られるかどうかはトランプ大統領次第であり、不安が払拭されない状況が続くおそれがあります。


対中関税総額は「トランプ減税」に匹敵

これまでトランプ政権は、中国からの輸入品に対して765億ドルの追加関税をかけています。今後の交渉次第でさらなる延期の可能性は残るものの、10月15日からは275億ドル、12月15日からは160億ドルがさらに追加される予定で、合計額は1,200億ドルになる見込みです。

2017年から2018年にかけて株式市場の押し上げ要因となった「トランプ減税」の規模は単年で1,500億ドルほどですので、このままではそれまでの減税の大部分を相殺する規模にまで関税が拡大してしまいます。

IMF(国際通貨基金)は、米中貿易問題によって2020年の世界の実質GDP成長率は0.8%ポイント押し下げられる可能性があるとの試算を示しており、景気や企業業績への影響が懸念されています。

各国で本格化し始めた財政政策をめぐる声

これに対して、各国の中央銀行は政策対応によって景気の減速に対応しています。

米FRB(連邦準備制度理事会)は9月18日に追加利下げを実施しました。ECB(欧州中央銀行)も9月12日の会合で利下げに加え、量的緩和の再開や一部の銀行に向けたマイナス金利での貸し出しなどの金融緩和策を発表しました。

中国も減税を断続的に発表しているほか、銀行の貸出指標金利の引き下げなどの金融緩和を行っています。その他にも7月以降、インド、ブラジル、ロシア、韓国、オーストラリア、メキシコ、インドネシア、トルコ、タイ、フィリピン、南ア、ニュージーランドと、世界中で利下げが実施されています。

金融政策に続いて、各国政府による財政政策の議論も出ています。

米国では、トランプ大統領が中間層向けの減税を来年にかけて発表する意向を示しています。欧州でも、長らく財政政策には消極的だったドイツで、財務大臣が500億ユーロの財政拡大に言及して市場を驚かせました。その後も、オランダが500億ユーロのインフラ投資ファンド計画を検討、との報道も出ています。

いずれも実現の可能性は不明ですが、米中貿易問題による景気への悪影響が明らかになった場合は、各国で財政政策が本格的に検討されるでしょう。

特に欧州では、ECBのマリオ・ドラギ総裁が「財政政策が主要な手段になる必要がある」と述べているほか、次期ECB総裁に内定しているクリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事も「ユーロ圏で効果的に財政出動できる組織が必要」と述べており、財政拡大への機運が高まりつつあります。

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