はじめに
世界の流れに逆行する日本の行方
この流れに逆行しているのが日本です。
10月1日には、消費税率が10%に引き上げられます。政府は軽減税率やキャッシュレス還元によって税負担の増加の影響は緩和されるとしていますが、小売現場における混乱などが予想され、かえって消費意欲の減退を招く可能性もあります。
すでに消費者態度指数が大幅に低下するなど、マインドは著しく悪化しています。スーパーなどのチェーンストア販売を見ると駆け込み需要がほとんど見られていませんが、これは消費増税の影響が軽微というよりも、駆け込み需要が起きないほどマインドが悪化している可能性があります。
金融緩和の余地も乏しい状況です。日本銀行は9月19日の金融政策決定会合ですべての政策を据え置きました。日銀はすでにマイナス金利政策を導入しており、長期金利も一時は誘導目標の中心である0%を大きく下回る、-0.3%近くまで低下しました。
また、利下げを行った場合は、効果よりも地方銀行の収益圧迫などの副作用のほうが大きいと指摘されています。米中貿易問題が再度悪化する局面になった際には、日本の政策対応の余地が財政・金融ともに小さいことに注意する必要があります。
<文:ファンドマネージャー 山﨑慧>