はじめに

今から約60年前に日本で最初のクレジットカードとして上陸し、今もアメリカン・エキスプレス(AMEX)と並ぶ高級クレカの代名詞として知られる「ダイナースクラブカード」。そんな同カードが来月から、これまでの提供サービスとは一線を画した新サービスを導入します。

発行元である三井住友トラストクラブの中村喜洋常務が「ありそうでなかった、現代のライフスタイルの合ったサービス」と自画自賛する新サービスとは、どんな内容なのでしょうか。9月24日に開かれた報道陣向けセミナーの内容から、ひも解いてみます。


「ラグジュアリーな店をカジュアルに楽しむ」

ダイナースクラブカードの会員向けに10月1日からスタートするのは、おひとり様グルメサービス「ごほうび予約」。有名レストランを1人で楽しみたいという会員に対して、割安な料金でおひとり様限定メニューを提供する、という内容です。

提供されるプランは2種類。1つは、店舗で通常提供しているコース料理と同じ分量のメニューを、ごほうび予約用に値段を抑えて提供する「コースプラン」。もう1つは、コース料理ほどの分量が食べられない、お酒をメインで楽しみたいという人に対応して、前菜が主体となっている「ライトプラン」です。

中心価格帯は6,000円台後半(税・サービス料抜き、以下同)。意識したのは、コースとお酒で1万円にいかないくらいの価格帯だといいます。

中村常務は「ラグジュアリーなお店に、カジュアルな価格帯で提供してもらうのがポイント。高すぎると使っていただきにくいし、安すぎてもご褒美感がない」と、価格設定の妙を説明します。

会員は、ごほうび予約の専用サイトからレストランとコースを検索・選択してボタンを押せば、予約申し込み専用のURLが記載されたメールが届きます。申し込みサイトで希望の日時などを入力して申し込めば、後は予約の可否を知らせるメールの到着を待つだけ。無事に返信があれば、予約が確定します。

予約は当日以外であれば、いつでも大丈夫。スマートフォンでも見やすいサイト構造にしているので、たとえば「電車の中で思い立ったら、その場で予約していただけます」(マーケティング本部の橋本真由美さん)。ただし、カード会社側の予約確認作業は平日のみの実施なので、注意が必要です。

おひとり様向けサービスを開発した理由

自分で申し込める一般カードでも年会費が2万2,000円、招待制のプレミアムカードだと年会費は13万円というダイナースクラブカード。なぜ、ラグジュアリーな会費設定とは印象の異なる新サービスを始めるのでしょうか。

その名が表す通り、「食事をする人」に向けて米国で誕生したダイナースクラブカードは、日本でもダイニング関連のサービスに力を入れてきました。現在人気になっているのも、有名レストランに関連した2つのサービス。「エグゼクティブ ダイニング」と「ごひいき予約」です。

前者は、カード会員が2名以上で所定のコース料理を予約すれば、1名分が無料になるという内容。客側にはお得感を提供する一方、店舗に対しては特典を目当てに来店した客に常連になってもらえるかもしれないというメリットを提供するものです。

後者は、なかなか予約の取れない有名レストランで直前になってキャンセルが出た場合、空席をダイナース側が購入して、会員に提供するというもの。店舗側にとっては突然のキャンセルによる食材ロスを回避できるのに加え、客側には滅多に入れないレストランで食事をする機会が得られるというメリットがあります。

ただし、これらの既存サービスは基本的に2名以上の利用が前提。既存のカード会員からは「1人でも有名レストランを楽しめないか」という要望が多く寄せられていたといいます。

「1人でレストランに行くと、店員やシェフと話す機会が増えます。すると、大勢で来ている時には気づかなかったお店の良さや、馴染みになる楽しさが実感できます。1人で来る時の良さを味わっていただきたい」(中村常務)

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