はじめに
大学進学費用の支払いに要注意
大学進学を希望する場合、まず受験自体に費用がかかります。受験料が国立大学なら1万7,000円 、私立大学なら約3万5,000円程度。受験地によって交通費・宿泊費もかかります。大学合格後はすぐに入学金・授業料の半年分・施設設備費などを払うことになります 。遠方の大学に通うなら、1人暮らしの準備も必要ですね。
もちろん大学進学後の費用についても知っておきましょう。国公立か私立か、文系か理系か、自宅から通えるかなど、進路によってまた変わってきます。
授業料年額 | 入学料 | 施設設備費 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
私立短大 | 699,876 | 244,948 | 174,548 | 1,119,372 |
国公立大学 | 535,800 | 282,000 | ― | 817,800 |
私立大学文系 | 781,003 | 231,811 | 152,496 | 1,165,310 |
私立大学理系 | 1,101,854 | 254,941 | 184,102 | 1,540,897 |
(単位:円)
資料:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」 および「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」 をもとに執筆者作成
高校生のいる家庭への支援制度は?
既に見たとおり、公立高校でも3年間で平均して約135.1万円の費用がかかります。高校生のいるご家庭の負担を軽くするため、国による「高等学校等就学支援金」という名称の授業料支援の制度があります。ただし、年収が多いご家庭(目安として年収910万円以上の場合)は対象にはなりません。 また、就学支援金は学校が生徒本人に代わって受け取り、授業料に充てるもので、生徒や保護者が直接受け取るものではありません。
(1)公立高校の場合
公立高校授業料相当額として一律年11万8,800円(月額9,900円)が支給されます。
(2)私立高校の場合
私立高校に通う場合、公立高校よりも授業料や学校にかかる費用が高いぶん、就学支援金も加算されています。ご家庭の年収に応じて支給額は変わり、授業料のうち最大で29万7,000円が就学支援金でまかなわれ、残りはご家庭での負担となります。
就学支援金は授業料に対する補助であって、授業料以外の制服や学用品、入学金など学校に必要な費用は、就学支援金からの補助はありません。ただし、住民税所得割額が非課税、もしくは生活保護受給世帯などの低所得世帯向けに、授業料以外の部分での援助をする「高校生等奨学給付金」などがあります 。
都道府県ごとの支援も確認しよう
都道府県では、国の制度である就学支援金に上乗せして、授業料の補助により家庭の負担軽減を図っています。 都道府県ごとに対象や金額が違い、例えば、兵庫県では国の支援金に県の補助を上乗せして上限が39万7,000円 です。これに対して、大阪府では府内私立高校の授業料平均に合わせて、上限は58万円となっています。
※年収目安は、両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合をモデル世帯としている。
資料:兵庫県「私立高等学校等生徒授業料軽減補助制度」をもとに執筆者作成
支援を受けられるか判定の基準は?
このように、高校生のいるご家庭には、高等学校等就学支援金、私立高校の場合の加算支給、都道府県ごとの補助があります。利用できるかどうか、また支給額がいくらになるかは、ご家庭の年収で毎年判定されます。 判定の基準は、親権者全員の市町村民税所得割額と道府県民税所得割額の合算額。これが50万7,000円以上(2019年6月分までは市町村民税所得割額が30万4,200円以上)だと国の就学支援金は受けられません 。
年収目安は、あくまでモデル世帯によるもの です。父と母が共働きなら2人の税額を合算して判断されます。また、税額は会社にお勤めか自営業か、家族構成などでかなり変わってきます。勤務先から6月頃に配布される住民税の決定通知書 などで、税額を一度確認してみてください。